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労働協約について概要や就業規則・労使協定との違いを解説!

労働協約とは

労働協約とは、労働組合と会社との間の約束のことをいい、双方の記名押印等がある書面で作成されてはじめて、効力が発生します。

そのため、労働組合がない会社様においては、労働協約の締結はできません。

以下にて、労働協約について、詳しく解説していきます。

 

労働協約で取り決められる事項

労働協約で締結される事項は、労働組合に関する事項と労働条件に関する事項に分けられます。

労働組合に関する事項につきましては、組合活動時間や会社から労働組合へ活動の部屋を提供する場合の施設の取り決め、具体的争議行為に関する項目など組合活動について規定します。

一方、労働条件に関する事項は、基本給や賞与などの賃金、福利厚生、昇格や解雇など人事に関する項目など労働条件全般に関する取り決めがなされます。

 

労働協約の拘束力

労働協約は原則、労働協約を締結した労働組合に加入している従業員と会社を拘束するものです。

そのため、当該労働組合の組合員でない労働者には効力は及びません。

しかし、労働組合法第17条に『一つの工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、他の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。』と規定されており、労働協約が労働組合員でない従業員にも効力が及ぶ場合もございます。

 

労働協約の優先順位

労働協約は、就業規則や個別契約よりも優先されます。

労働基準法第92条では、『就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。』と規定されています。

そのため、労働協約を下回る労働条件を就業規則にて定めることはできません。

また個別労働契約においても、労働協約が優先されます。

労働協約を締結した労働組合の構成員との間においては、労働協約を下回る労働条件を個別労働契約において締結することはできません。

 

労働協約の期間

労働協約の有効期間を定める場合、その期間の上限は3年と定められています。

3年を超える労働協約を締結した場合、3年の期間を定めたものとして取り扱われます。

期間の定めのない労働協約を締結した場合は、労働組合または会社側のどちらかが、90日前に予告した上でいつでも解約することができます。

ただし、実際に会社側から解約を行う場合には、合理的な理由が必要であり組合に対して十分な説明を行った上で解約をする必要がございます。

 

労働協約と就業規則のちがい

労働協約と就業規則について、どちらも労働条件等について規定するものです。

ここでは労働協約と就業規則のちがいについて解説していきます。

 

対象者のちがい

労働協約:原則、労働協約を締結した労働組合の構成員について適用されます。

(※適用範囲の拡張を除く)

 

就業規則;事業場の全従業員について適用されます。

 

手続きのちがい

労働協約:前述の通り会社と労働組合双方の同意のもと記名、押印等がある書面を作成してはじめて効力を発揮します。

そのため、変更等についても労働組合の同意が必ず必要であり、会社側が一方的に変更することはできません。

 

就業規則:会社のルールブックとして、会社側が従業員に対して一方的に労働条件等を定めることができます。就業規則に対して、労働組合や労働者の過半数代表者に意見を聞く必要はあありますが、同意までは要しません。

 

労働協約と労使協定のちがい

次に、労働協約と労使協定について、解説していきます。

 

対象者のちがい

労働協約:原則、労働協約を締結した労働組合の構成員について適用されます。

(※適用範囲の拡張を除く)

 

労使協定;事業場の全従業員について適用されます。

 

手続きのちがい

労働協約:前述の通り会社と労働組合双方の同意のもと記名、押印等がある書面を作成してはじめて効力を発揮します。そのため、変更等についても労働組合の同意が必ず必要であり、会社側が一方的に変更することはできません。

 

労使協定:事業場の過半数労働組合又は労働者の過半数代表者の署名が必要となります。

 

 

性質のちがい

労働協約:前述の通り、労働条件等を会社と労働組合が対等な立場のもと話し合いを行い、双方が同意し、書面にて記名、捺印し定められるものです。

 

労使協定:時間外労働に関する協定書(36協定)や賃金控除に関する協定書など、本来労働基準法で禁止されている事項について締結することにより、一部例外として許容される労働条件を定めたり、免罰効果を及ぼすものとなります。

 

まとめ

ここまで、労働協約について解説してきました。『労働協約』『就業規則』『労使協定』のちがいについて、理解し今後の会社運営にお役立ていただければと思います。

特に労働協約の効力は、就業規則や個別労働契約よりも優先されるものであることにご注意下さいませ。

弊所では、労働協約や就業規則について個別の内容でのご相談や、就業規則や労使協定の作成の依頼を受け付けております。

気になることや、ご質問がございましたらお気軽にご連絡下さいませ。

 

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