国民年金第3号被保険者とは?国民年金第3号被保険者関係届の提出が必要なケースについて解説!

国民年金第3号被保険者関係届とは、公務員や会社員など組織や会社に所属し、厚生年金保険に加入している人(国民年金第2号被保険者)が配偶者を扶養に入れる際に提出しなければならない書類です。

今回は国民年金第3号被保険者関係届とはどういった場合に提出が必要で、どのように提出するのかなどを解説します。

 

国民年金第3号被保険者とは?

国民年金第3号被保険者とは、会社員や公務員など厚生年金に加入している人(第2号被保険者)に扶養されている配偶者(20歳以上60歳未満)で、かつ年収が130万円未満の人のことをいいます。

国民年金第3号被保険者になると、国民年金保険料を支払う必要がなくなります。

これは、国民年金第3号被保険者の配偶者が加入している厚生年金や共済組合が一括して負担しているためです。

他に、20歳以上60歳未満の自営業者や学生、および無職の人(厚生年金保険や共済組合などに加入しておらず、第3号被保険者ではない人)等とその配偶者のことを国民年金第1号被保険者、会社員など厚生年金保険の加入者、及び共済組合の加入者のことを国民年金第2号被保険者といいます。

 

被保険者の種類
被保険者区分 1号被保険者 2号被保険者 3号被保険者
 

対象者

自営業者、学生、フリーター、および無職の人とその配偶者。また、第2・第3に該当しない配偶者など 会社員・公務員等 厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている年収130万円未満の配偶者
年齢 20歳以上60歳未満 70歳未満 20歳以上60歳未満
加入する年金 国民年金 国民年金+厚生年金 国民年金
保険料 被保険者自身が全額を納付 給与や賞与に決まった保険料率をかけて算出した金額を事業主と被保険者とで半分ずつ負担 配偶者の加入している年金制度が負担するため、自己負担なし
保険料の金額 16,980円/月
(令和6年度)
標準報酬月額×18.3%
(平成29年9月以降固定)

 

第3号被保険者の条件

第3号被保険者は、以下の3つの条件を満たした人だけがなることができます。

  • 第2号被保険者に扶養されている配偶者
  • 20歳以上60歳未満
  • 配偶者(第3号被保険者にあたる人)の年収が130万円未満

※障害者の場合は、障害年金を含めて年収180万円未満、かつ以下の条件を満たすこと【同居の場合】本人の収入が第2号被保険者の年収の半分未満であること

【別居の場合】本人の収入が仕送り金額未満であること

 

第3号被保険者関係届の提出が必要になるケース

それでは実際に国民年金第3号被保険者関係届の提出が必要になるのはどういう場合なのかを解説していきます。

 

  • 第 3号被保険者になったとき
  • 第3号被保険者でなくなったとき
  • 海外に転居するとき

 

上記3つのケースをそれぞれ説明していきます。

 

第3号被保険者になったとき

結婚や、配偶者の出産等に伴う退職、収入の減少等、配偶者が扶養になる要件を満たした場合などに国民年金第3号被保険者関係届を提出しなければなりません。

国民年金第3号被保険者関係届を提出することで、被扶養配偶者は年金制度に扶養加入することが可能です。

【参考様式】

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/kinyurei01.pdf

(参照先:日本年金機構ホームページ)

 

被扶養者が第3号被保険者ではなくなったとき

第3号被保険者の資格を喪失した際にも国民年金第3号被保険者関係届を提出しなければなりません。

資格の喪失には主に下記要因が挙げられます。

 

  • 被扶養配偶者の就職(収入増加や厚生年金保険の加入等、要件を満たさなくなった)
  • 被扶養配偶者が60歳に到達
  • 扶養者との離婚
  • 扶養者が退職、死亡等で第2号被保険者の資格を喪失
  • 扶養者が65歳に到達し老齢基礎年金の受給資格を満たした
  • 海外に転出し海外特例非該当の場合   等

 

特に、扶養者である第2号被保険者が65歳に到達し老齢基礎年金の受給資格を満たした場合の喪失要因に注意が必要です。

例として、わかりやすく夫が妻より10歳年上の夫婦パターンで考えてみます。

夫が65歳になり老齢基礎年金の受給資格を満たした場合、妻は55歳でも第3号被保険者の資格を喪失してしまいます。

喪失後、妻は自分で年金制度に加入しなければなりません。

【参考様式】

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/kinyurei02.pdf  (参照先:日本年金機構ホームページ)

 

海外転出したとき

令和2年4月1日より国内居住要件が追加されたため、海外転出する場合は国民年金第3号被保険者関係届を提出し、扶養削除しなければなりません。

ただし、下記の条件に該当するような、日本国内に生活基盤があると認められた場合は「海外特例」として引き続き年金制度に扶養加入することが可能です。

 

  • 海外に留学する学生
  • 海外に赴任する第2号被保険者に同行する方
  • 観光、保養、ボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する方
  • 上記に該当する方に加え、渡航目的その他の事情を考慮し日本国内に生活基盤があると認められる方

【参考様式】

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.files/kinyurei03.pdf

(参照先:日本年金機構ホームページ)

 

国民年金第3号被保険者関係届を提出する方法

まず、国民年金第3号被保険者関係届の用紙を入手してください。

最寄りの年金事務所の窓口で直接受け取るか、日本年金機構のホームページからダウンロードすることが可能です。

届出は【健康保険被扶養者(異動)届】と同じタイミングで行います。ただし、一般的に国民年金第3号被保険者関係届は、健康保険被扶養者(異動)届とセットになっているため、健康保険の扶養に関する手続きを行うと同時に提出することができます。

但し、扶養者の勤務先である事業所が健保組合に加入し、届出先が協会けんぽと異なる場合などは国民年金第3号被保険者関係届を別途提出する必要があります。

【参考様式】

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20141224.html

(参照先:日本年金機構ホームページ)

 

まとめ

国民年金第3号被保険者関係届とは、会社員や公務員等、厚生年金に加入している人が配偶者を扶養に入れる場合に提出が必要な書類です。

配偶者の収入増加や離婚等で扶養から外れる場合も、同様に提出しなければなりません。

日本は全国民が何らかの年金制度に加入する国民皆年金制度を採用しているため、第3号被保険者の資格を取得もしくは喪失した場合、14日以内に国民年金第3号被保険者関係届を提出することが義務付けられています。

期限に遅れても直ちに罰則を受けるわけではありませんが、不整合期間が生じて将来の年金受給額が減ってしまう恐れがあります。

扶養に入る、もしくは扶養から外れる場合は必ず国民年金第3号被保険者関係届を提出し、将来の年金受給に備えましょう。

 

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