最低賃金はどのようにして決まるのか?

毎年、最低賃金の改正が行われ、金額が上昇しています。

では、最低賃金額はどのようにして決まるのでしょうか。

最低賃金の種類

まず、最低賃金制度とは、「国が賃金の最低額を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない」と最低賃金法にて定められています。

使用者と労働者双方の合意のもとに賃金を定めた場合でもあっても、その賃金額が、最低賃金額に満たない場合は無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。

(罰則も科されます)

最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。

「地域別最低賃金」とは、各都道府県ごとにその都道府県の事業所にて就業するすべての労働者とその使用者に対して適用されるもので、一般的によく耳にしているものです。

「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業にて就業する労働者とその使用者に対して適用されるもので、「地域別最低賃金」よりも水準の高い賃金を定めているものです。

なお、同時に適用される場合には、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。

最低賃金の決め方

最低賃金は、公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成される最低賃金審議会において、賃金の実態調査結果などの各種統計資料を十分に参考にしながら審議を行い決定されています。

「地域別最低賃金」の決定基準には、

  1. 労働者の生計費
  2. 労働者の賃金
  3. 通常の事業の賃金支払能力

を総合的に勘案して定めるものとされています。

①の労働者の生計費を考慮するに当たっては、「労働者が健康的で文化的な最低限度の生活営むことができるよう、生活保護の関連施策との整合性に配慮すること」が求められています。

また、地域別最低賃金は、全国的な整合性を図ることも必要とされ、毎年、中央最低賃金審議会から地方最低賃金審議会に対し、引き上げ額の目安が提示されます。地方最低審議会はその目安を参考にしながら、地域の実情に応じた地域最低賃金額の改正のための審議を行います。

  1. 厚生労働大臣の諮問(6~7月頃)
  2. 中央最低賃金審議会の目安を提示(7月下旬~8月上旬頃)
  3. 地方最低賃金審議会での改定額を答申(8月中旬~9月上旬頃)
  4. 異議申出と公示(8月下旬~9月中旬頃)
  5. 最低賃金改定額の発効(10月以降)

決定までのフロー

出典 厚生労働省

 

「特定(産業別)最低賃金」は、関係労使の申出に基づき、最低賃金審議会が必要と認めた場合、最低賃金審議会の調査審議を経て決定されます。

 

決定までのフロー

出展 厚生労働省

今後の見通しについて

2025年度は、全国平均66円の引き上げとなり、平均時給額1,121円、全都道府県の最低賃金額が1,000円を超えました。

引き上げ額についても、63円~82円となり、2024年の50円~84円と比べても、引き上げ幅が全体的に上昇していることがわかります。

内閣府が2025年に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2025」の中で、「賃上げを起点とした成長型経済の実現」として、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の実行」を記しています。

最低賃金については、2020年代に全国平均1,500円という目標の達成に向けて取組を実施するとされています。

以前掲げられていた2030年代から前倒しの目標となっています。

現在の最低賃金の全国平均が1,121円で、あと4年で1,500円とするためには、毎年の引き上げ額が、現在の引き上げ額では目標達成とはなりません。

実際には、実際には事業主の賃金支払能力、特に中小企業・小規模事業者の企業体力を考えれば、使用者側の反発も大きいであろうと思いますが、この目標に向かって進められることが考えられます。

企業としての対応

では、実際にどのくらい引き上げになるかはわかりませんが、昨年と同程度以上の引き上げとなることは予想ができます。

企業としては、どのように準備すればよいでしょうか。

最低賃金額が発令されれば、まずは、改定後の賃金に満たない従業員がいないか確認した上で、給与額を決定する必要があります。

また、給与額アップに伴い、社会保険料等の負担も大きくなります。

事業主負担分が増となるため、こちらも想定しておく必要があります。

併せて、労働条件通知書の見直し、規定等の見直しが必要となるケースもあります。

また、最低賃金額の引き上げの前に、賃金の引上げと同時に設備投資等を行った中小事業主であれば「業務改善助成金」、非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を増額改定の上、その規定を適用させた場合は「キャリアアップ助成金・賃金規定等改定コース」を活用できる場合もあります。(要件をみたしている場合)

まとめ

今後も、毎年大きく最低賃金額が引き上げられることが予想できますので、その都度、企業として対応する必要があります。

企業として、すべて対応できているのか、どこから手をつければいいのか、助成金を活用できるのかなど、把握すべきことがたくさんあります。

毎年毎年、見直しが必要となります。

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