従業員の入社や退社、結婚等の際に会社がおこなう手続きについて解説!

会社では業務を行っていく上で必要な社員を雇用したり、また事情があって退職していくひともいます。

また、雇用している社員の結婚・離婚・出産などの扶養する家族の異動などライフスタイルの変化も多々あります。

では、社員を雇った際、仕事をこなしてもらうだけでいいのでしょうか。

それぞれ保険の加入など、必要な手続きをしなければいけません。

では具体的にどのような手続きが必要となるでしょうか。

従業員の入社に関する手続き

新卒・中途など1年中社員を採用する機会があります。雇用条件の内容にもよりますが、社会保険・雇用保険ともに取得手続きが必要となります。

社会保険の加入要件については、別記事にて「社会保険加入条件」としてアルバイトや短時間労働者の基準等を説明していますのでご参照ください。

手続きについては、健康保険・厚生年金の取得手続きを日本年金機構(健康保険組合に加入の場合は健康保険は組合に)、雇用保険の取得手続きをハローワークに申請します。

取得手続きにあたって必要事項の記載が必要となりますので、情報の準備をします。例えば本人の情報(氏名・生年月日・住所)はもちろんですが、他にも社会保険の手続きには基礎年金番号、雇用保険の手続きには雇用保険被保険者番号が必要となりますので、入社の際に社員より入手しておきます。

 

また共通して見込みの報酬額、マイナンバーも必要となります。

特に社会保険取得手続きの際の報酬額は、社会保険料が決定されるものとなります。

毎月平均して残業が予定されている、入社時の雇用契約書にて交わされている固定給以外にも毎月支給が予定されている手当があればその額も含めた報酬額にて申請が必要となります。

これらを準備の上、「被保険者資格届」の申請を進めます。

 

ちなみに、社会保険は入社から5日以内、雇用保険は入社日の翌月の10日までに提出が必要です。

また、最近では外国籍の社員も多いと思います。在留カードの写しを提出してもらい、在留期間内であるかどうか、在留資格や就業制限の有無を確認し就業させても可能か否かを必ず確認してください。

雇用保険の資格取得届を申請の際には、在留カードの情報が必要となります。

扶養の異動に関する手続き

社員が入社した時、または入社以降にも扶養家族の変更があったときに健康保険の手続きが必要となる場合があります。

扶養にいれたい家族がいると申し出があった場合に、まず健康保険の扶養としての認定基準を満たすかどうかの確認が必要となります。

  • 被保険者(社員)が扶養しているかどうか(生計維持要件)
  • 被扶養者の所得基準が一定以下であるかどうか(収入要件)
  • 扶養として認められる範囲かどうか(続柄や同一世帯条件など)

ただ家族というだけでは扶養家族としては認定されません。

日本に住民票を有していること、被保険者の収入によって扶養されていること、被扶養者自身の収入が年間130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間180万円未満)であること、被保険者の収入の半分未満であること、また続柄によって同一世帯であることが条件とされている場合もあります。(一部、特例等もあります)

また別居の家族を扶養とする場合、被扶養者の収入を超える仕送りがないと生計維持しているとは認定されません。

 

扶養家族の健康保険の手続きを行う場合は、「被扶養者異動届」を提出しますが、その際に必要な情報や添付するための資料を入手します。

被保険者本人と併せて手続きが必要な被扶養者全員の氏名・生年月日・収入・住所(別居の場合)・マイナンバーと被扶養者に収入がある場合は収入額を確認できるもの(課税(非課税)証明書、給与明細など)、別居の家族を扶養とする場合は送金の明細などを準備の上、手続きを行います。

また扶養家族によっては退職の確認できる書類、非課税対象の収入がある場合はその通知書等確認できる書類、内縁関係の場合は確認できる両人の戸籍謄本などが必要となります。

同時に20歳以上60歳未満の配偶者を扶養手続きする場合、国民年金第3号被保険者手続きも併せて行います(ただし、被保険者が65歳未満の場合)。

また扶養としていた家族が就職などで扶養から外れる場合は、早急に扶養削除の手続きを行い健康保険証を返還してください。

退職に関する手続き

社員が退職するときは保険の喪失手続きが必要となります。

社会保険は「資格喪失届」にて喪失手続きをすすめます。併せて、退職日の翌日以降は健康保険証が使用できませんので扶養家族の分も含め回収の上、協会健保(健康保険組合)に返却します。

雇用保険については雇用保険資格喪失届と離職証明書の手続きを行います。

直近2年間の内、12か月分の勤怠と賃金台帳を準備の上申請を行います。こちらは、退職後の社員の基本手当(失業給付)などの給付額を決定するための情報となりますので、誤りのないように申請をすすめます。

退職の理由が有期雇用期間の期間満了である場合は最終の雇用契約書や雇止め通知書、定年による退職の場合は定年について規定している就業規則の該当箇所を申請の際に添付する必要があります。

結婚・離婚に関する手続き

入社後、社員が結婚や離婚をした場合、必要な手続きはあるでしょうか。

結婚により氏名に変更があった場合、基本的にはマイナンバーにより健康保険証については1~2か月程度で変更後の保険証がおくられてきます。

 

また、雇用保険についても直ちに変更手続きを行う必要はなく、次回の手続き時(給付金申請など)の際に同時申請として氏名変更手続きを行うことができます。

結婚により扶養家族の手続きが必要となった場合は、必要な情報等を入手の上「扶養異動届」を申請してください。

出産に関する手続き

では出産については必要な手続きはあるのでしょうか。

まず被保険者本人が出産する場合、産前42日前~社会保険料の免除申請を行います。

こちらは、被保険者本人と会社にて負担している社会保険料(健康保険・厚生年金保険)ともに保険料納付が免除されます。

 

「産前産後休業取得者申出書」に必要事項を記載の上提出します。

また、出産後57日目以降は育児休業となりますので、引き続き休業を取得する場合は「育児休業取得者申出書」を提出します。

被保険者本人が出産のため休業し、賃金を受けない期間については、産前産後休業中に対しては健康保険より「出産手当金」、育児休業期間中に対しては雇用保険より「育児休業給付金」を受けることができます。

出産手当金については、出産情報に関する医師 ないしは役所の証明、本人の口座情報、休業期間中の賃金情報等を記載の上、協会けんぽ(健康保険組合)に提出します。

育児休業給付金は、母子手帳の写し(市区町村の証明部分)、口座情報、直近2年間の内12か月以上の勤怠・賃金情報を証明の上ハローワークに提出します。

また、出産育児一時金については、医療機関に申し出て直接支払制度を利用することができますが、直接支払制度を利用しなかった場合や出産育児一時金の額より少なかった場合はその差額を請求することができます。

また配偶者の出産があった場合、出産日以降(予定日より出産日が後の場合は予定日以降)に育児休業の取得をした場合、本人の出産の場合と同様、社会保険料の免除や育児休業給付金の申請を行います。

出生児を健康保険の扶養とする場合、情報を入手次第、速やかに扶養異動の手続きを行います。

 

まとめ

ライフスタイルの変化があった場合、社員の入退社があった場合、それぞれ必要な手続きがあります。

これらは健康保険証の取得であったり、給与の支払いがない期間の給付金であるため、早急な手続きが必要となります。

また扶養家族の手続きの場合は必要な情報のほか、状況によって必要とされる書類なども変わってきます。

毎回ケースが変わることもありどのような情報を入手してよいか迷うこともあると思います。そんな時は、ぜひ弊社にご相談ください。

ケース毎に必要な手続きや情報をご案内いたします。今回、記載しきれていない特例などもご説明させていただきます。

こんな場合は?ということがありましたら、お気軽にご連絡をお待ちしております。

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