介護休業とは?対象者や受給要件について解説!

介護休業について、実際に聞いたことはあるもののいったいどんなときに取得できるのか

会社として、従業員が取得する際には何をしてあげればよいのか不明点が多いかと考えます。

そこで今回は介護休業についてご説明していきます。

 

介護休業とは

まず、介護休業とはどういったお休みなのかを説明していきます。

介護休業とは労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。

 

対象家族について

それでは、介護休業における対象家族の範囲についてご説明致します。

対象家族は、配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。

特に同居の有無は問わず上記の関係にある親族が2週間以上の要介護状態にあれば、取得することが可能です。

 

要介護状態とは

上記でも述べた通り、育児・介護休業法において介護休業は、要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。

では、この「要介護状態」はどのように判断するのかご説明していきます。

 

以下の内いずれかと判断される場合、「要介護状態」と判断されます。

  • 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
  • 以下の状態(1)~(12)のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

 

項目\状態 1(注1) 2(注2)
(1)座位保持(10分間一人で座っていることができる) 自分で可 支えてもらえればできる
(注3)
できない
(2)歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) つかまらないでできる 何かにつかまればできる できない
(3)移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(4)水分・食事摂取(注4) 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(5)排泄 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(6)衣類の着脱 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(7)意思の伝達 できる ときどきできない できない
(8)外出すると戻れない ない

 

ときどきある ほとんど毎回ある
(9)物を壊したり衣類を破くことがある ない

 

ときどきある ほとんど毎日ある
(10)周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがある ない

 

ときどきある ほとんど毎日ある
(11)薬の内服 自分で可 一部介助、見守り等が必要 全面的介助が必要
(12)日常の意思決定(注6) できる 本人に関する重要な意思決定はできない(注7) ほとんどできない

 

(注1)各項目の1の状態中、「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む。

(注2)各項目の2の状態中、「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のことである。

(注3)「(1)座位保持」の「支えてもらえればできる」には背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む。

(注4)「(4)水分・食事摂取」の「見守り等」には動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む。

(注5) (9)3の状態(「物を壊したり衣類を破くことがほとんど毎日ある」)には「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む。

(注6)「(12)日常の意思決定」とは毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力をいう。

(注7)慣れ親しんだ日常生活に関する事項(見たいテレビ番組やその日の献立等)に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう。

 

 

ただし、必ずしも上記に厳密に従う必要はなく、従業員の事情にあわせて柔軟に運用することが望ましいとされています。

また、会社は上記のような要介護状態を証明する書類の提出を、従業員に対し求めることが可能ですが、医師の診断書に限定したり、書類を提出できないことをもって休業させないということはできませんので、ご注意をお願い致します。

 

取得できる日数

対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業が可能です。

93日連続で取得も、分割で取得することもどちらも可能です。

またこの期間について後述する要件を満たせば対象従業員は、ハローワークより介護休業給付金を受給することが可能です。

 

介護休業の対象となる従業員

以下の従業員を除く、従業員が原則介護休業の対象となります。

 

  • 日雇い労働者
  • 期間を定めて雇用される従業員のうち、取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかな従業員

 

ただし、育児介護休業に基づく労使協定を従業員と締結している会社においては、以下の従業員についても対象外とすることが可能です。

 

  • 入社1年未満の従業員
  • 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する従業員
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

上記の従業員を対象外とする場合、会社として育児介護休業規程を作成、周知し事業所ごとの労働者の過半数代表と書面による協定を作成する必要がございます。

 

給与の支払いは必要か

介護休業期間中の給与の支払いは不要です。

ただし、介護休業期間中の社会保険料の免除はございませんので、給与支給がない場合でも社会保険料の従業員負担分の徴収を忘れないよう注意が必要です。

従業員から介護休業の申請があった場合の注意点

従業員から介護休業の申請があった場合の注意点について解説します。

拒否できない

介護休業の要件を満たした労働者からの申請があった場合、育児・介護休業法において原則として事業主は介護休業を取得させる義務があります。

就業規則において介護休業に関する規定が定められていない場合でも、取得の申し出は受けなければなりません。

介護休業を会社が拒否した場合、罰則はありませんが、その会社に対して強い行政指導が行われます

介護のための適切な対応が必要

介護休業の取得期間や勤務時間などを、労働者の個々の事情に合わせて柔軟に検討する必要があります。

介護短時間労働等を申し出た従業員は所定労働時間の短縮や労働時間(残業・深夜労働等)が制限される

介護短時間労働等を申し出た従業員は、所定労働時間の短縮や法定時間外労働、時間外労働、深夜労働が制限されます。

これは、介護と仕事の両立を支援するため、労働者の健康と生活を守ることを目的としたものです。

 

制限内容は以下のとおりです。

1.所定労働時間の短縮

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が請求した場合、所定労働時間を短縮(所定労働時間の最大を6時とするもの)しなければなりません。

2. 法定時間外労働の制限

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が請求した場合、1ヶ月24時間、1年150時間を超える法定時間外労働をさせてはなりません。

3. 時間外労働の制限

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が請求した場合、1日8時間を 超え、かつ1週間40時間を超える時間外労働(変形労働時間制採用の場合を除く)をさせてはなりません。

4.深夜労働の制限

事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する従業員が請求した場合、午後10時から午前5時までの深夜に労働させてはなりません。

介護休業給付金について

上記、介護休業を取得した場合以下の条件を満たす従業員は、介護休業給付金を受給することが可能です。

以下では介護休業給付金について詳しく説明していきます。

 

受給要件

以下の要件を満たす場合に、介護休業給付金の受給が可能です。

 

  • 職場復帰を前提とし、上記介護休業を取得していること

退職を予定している場合、取得することができません。

  • 雇用保険被保険者であること

雇用保険に加入していない従業員は、給付金の支給はございません。

  • 介護休業を開始した前2年間に賃金支払基礎日数(就労日数)が11日以上ある月が通算して12か月以上あること

ただし11日以上ある月が12か月以上ない場合は、就労時間数が80時間以上である月を1か月として通算することが可能です。

  • 支給単位期間(介護休業開始日から1か月ごとに区切った期間)の初日から最終日まで雇用保険被保険者であること

期間の途中で退職する場合、該当短期間については支給されません。

  • 支給単位期間において、就業している日数が10日以下であること。

2週間介護休業をしていても支給単位期間において、10日以上働いている場合、受給することができません。

  • 支給単位期間に支給された賃金額が、休業開始時の賃金月額の80%未満であること

休業

介護休業をしていても、通常と同じくらい給与が支払われている場合はおいては、支給されない可能性がございますので、ご注意下さい。

 

受給金額

受給金額につきましては、以下の計算式にて計算されます。

 

支給額=休業開始賃金日額×支給日数×67%

 

休業開始賃金日額につきましては原則として、介護休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で除した額となります。

また、支給日数は原則30日ですが、介護休業終了日を含む支給単位期間については、その暦日数で計算されます。

 

提出書類

基本的には、会社が従業員の代わりに申請する必要がございます。提出書類は以下のとおりです。

  • 賃金月額証明書
  • 介護休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿、労働者名簿、雇用契約書
  • 従業員が会社へ提出した介護休業申出書
  • 介護家族の氏名、性別、生年月日及び被保険者との続柄等が分かる書類の写し

(住民票など)

 

申請期限

各介護休業終了日(介護休業期間が3ヶ月以上にわたるときは、介護休業開始から3ヶ月を経過した日)の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までとなります。

例えば、介護休業が8月25日で終了した場合、10月31日までが提出期限となります。

提出先は会社の所在地を管轄するハローワークです。

 

まとめ

以上介護休業について、定義から給付金までをまとめてご説明致しました。

突然、従業員からの介護休業の申出に慌てないためにも、事前に育児介護休業規程や労使協定などの整備をしておく必要があります。

弊所では育児介護休業規程の作成なども請け負っております。

また、個別具体的な介護休業のご相談もいつでもお待ちしておりますので、お気軽にご連絡下さいませ。

 

労務を全力でサポートします!

「労務相談や規則の作成についてどこのだれに相談すればよいのかわからない」
「実績のある事務所にお願いしたい 」
「会社の立場になって親身に相談にのってほしい」
といったお悩みのある方は、まずは一度ご相談ください。

実績2000件以上、企業の立場に立って懇切丁寧にご相談をお受けします!