企業担当者が知っておきたい！振替休日と代休の違いとは？

振替休日と代休について、同じ意味として勘違いされている会社様はとても多いのですが、振替休日と代休は法律上それぞれ別の意味があり、振替休日なのか代休なのかによって支給する給与の金額も変わってしまうため、この休みは振替休日なのか、代休なのかを理解しておくことは大切なこととなります。

振替休日と代休の違い

振替休日と代休は、どちらも労働者が休日出勤した代替として取得できる休日ですが、下記のような違いがあります。

1. 事前決定か事後決定か
2. 割増賃金の支払い義務の有無

それぞれ詳しく解説します。

振替休日とは

振替休日とは、休日を振り替えることとで、あらかじめ休日とされていた日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることを言います。

休日を振り替えることにより、もともと休日の日に労働をしても休日労働にはならない為、休日労働に対する割増賃金は発生しません。

代休とは

代休とは休日労働が行われた場合に、その代償として以後の特定の労働日を休みとするものをいいます。

振替休日と代休の例

振替休日の例：来週の日曜日は急ぎの仕事があるので来週の日曜日は出勤(労働日とする)するので、その代わり来週の水曜日を休みにして、労働日と休日を入れ替える。(あらかじめ労働日と休日を入れ替える)

代休の例：今週の日曜日は急ぎの仕事があったので日曜日に休日出勤をした。その代わりに、今週の水曜日を休みとする。（休日出勤をした代わりに他の労働日を休みとする）

どちらも労働した日と休んだ日は変わらないように見えますが、一番のポイントは、振替休日は休みの日に出勤する前に入れ替える休みの日を決めていること、代休は休日出勤をした後に代わりに休みにする日を決めていることです。

振替休日制度を運用する上での注意点

最後に、振替休日制度を円滑かつ法令遵守で運用する上での注意点についても解説します。

就業規則で振替休日について記載しておく

振替休日制度を運用するためには、就業規則に以下のような内容を明記する必要があります。

• 振替休日を付与する休日の範囲
• 振替休日の付与方法
• 振替休日の取得方法
• 振替休日の取得期限

ルールを決めないまま振替休日制度を導入すると、あとからトラブルになってしまうリスクがあるため、必ず記載しておきましょう。

事後の振替休日は代休扱いになる

事後に振替日を決定した場合、それは振替休日ではなく代休とみなされます。

これは、労働基準法上、休日労働の代替として付与される休暇は、事前に振替日を労働者へ通知する必要があるためです。

具体的には、以下の場合が事後の振替休日となり、代休扱いとなります。

• 突発的な業務の都合で、急遽休日出勤を指示した場合
• 災害等で、事前に予定していなかった日の出勤が必要となった場合
• 労働者が私的な都合で欠勤し、その穴埋めのため、急遽他の労働者に休日出勤を依頼した場合

上記のような場合、会社としては、本来休日であるはずの日に労働を行わせたことへの代替措置として、代休を付与することができます。

（代休は、与えなくても法的に問題はありません）

振替休日と代休を取得した場合の割増賃金について

ここではA株式会社を例に解説いたします。

A株式会社の条件

1. 変形労働時間制の導入はなく1日8時間、週40時間(1週間のスタートは日曜日)を超えた場合に割増賃金が発生する。
2. 法定休日は日曜日に設定
3. 所定労働日は月曜日～金曜日

振替の場合

予め休日を入れ替えているので休日割増賃金は発生しない。

代休の場合

日曜日の法定休日に休日出勤をしているので日曜日に8時間分の1.35の割増賃金を支給

水曜日に代休をとっているので8時間分の1.0の賃金を控除

1.35-1.0＝0.35

よって最終的には8時間分の0.35の割増部分にあたる賃金を支給する必要があります。

振替休日が同一週でない場合の注意点

上記では同一週内で振替をした場合をご覧いただき、振替休日の場合、休日割増賃金は発生しないとお伝えしましたが、もう一点注意しなければならないのが、休日を別の週の労働日と入れ替える場合です。

原則週40時間を超えた場合には1.25の割増賃金を支払わなければなりません。

これは休日を振り替えた場合も同じです。

週またぎに休みを入れ替えた場合

上記ご覧いただくと休日を週をまたいで入れ替えたことにより振替後の第1週の労働時間が週48時間となっています。

振替ですので休日出勤の1.35割り増しは必要ありませんが週40時間を超えている8時間に対して1.25の割増賃金が必要となります。

但し休日を入れ替えているため1.25の1.0部分については翌週水曜日に休んでいるので相殺され残りの0.25部分について8時間分の支給が必要となります。

まとめ

振替休日と代休の違いはわかりましたでしょうか。振替休日と代休とでは割増で支給する金額が変わります。

また、振替休日だからと全く割増賃金がいらないかと思えば、週40時間超えに対する割増賃金が必要であったりと、管理と給与計算が複雑であるのが振替休日と代休です。

従業員に休めるときはしっかり休んでもらえる振替休日と代休の制度。しっかりと理解して運用しましょう。

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズでは振替休日と代休についてのご相談も承っております。ぜひご連絡お待ちしております。