会社の休日やお休みについて、何日あればよいのか、有給休暇とのちがいは何かなど分からない部分が多いのではないでしょうか?
ここでは労働基準法における休日、休暇とは一体何か?会社の運用上どういったことに注意すべきかご説明していきます。
休日について
(1)休日の定義
休日といわれて一般的に思い浮かべるのは土日祝日ではないでしょうか?
労働基準法上休日とは、「労働する義務がない日」と定義できます。
この休日をいつにするか、1年のうち何日を休日とするかは会社によって定めが異なります。
(2)休日の定め方
休日は以下に注意して定める必要があります。
①毎週少なくとも1回(または4週間を通じ4日以上)の休日を、与えなければならない。
休日は、労働基準法第35条により「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回(または4週間を通じ4日以上)の休日を、与えなければならない」と定められています。
そのため会社は従業員に対し、必ず週に1回お休みを与えなければなりません。
4週間を通じ4日でもかまいませんが、4週間の起算日を特定し管理することは煩雑であるため、おすすめ致しません。
②週の労働時間が40時間を超えてはならない。
それでは1週間に1回の休日のみでいいのか?と、疑問に思われるかもしれませんが、労働基準法では労働時間の上限を、1日8時間、週40時間と定めています。
週に1回の休日のみだと、1日8時間を所定労働時間として定めている場合、8×6日=48時間と週40時間をこえてしまいます。
多くの会社の所定労働時間は8時間ではないでしょうか?所定労働時間が8時間の場合、週40時間を超えないために必要な年間休日日数は105日です。
(3)法定休日と所定休日のちがい
ここまで、休日の定義をみてきました。次に所定休日と法定休日のちがいについてご説明していきます。
法定休日:労働基準法第35条で保障された休日(毎週1回は必要。)
所定休日:会社が任意に定めた休日
上述の通り、法定休日とは、法律で定められた1週間に1回の休日をいいます。
また、所定休日とは会社が任意で定めた休日となります。労働基準法では労働時間が週40時間と定められていますので、これを超えないためにも法定休日に加えて会社が任意で休日を定める必要があります。
特に上限などはございませんので、会社ごとに休日日数が異なりますのはこの所定休日日数のちがいとなります。
(4) 休日労働の割増
休日を定めていても業務の都合上、休日に出勤を余儀なくされる場合があります。
この場合はどうなるのかご説明していきます。上述の通り、休日には法定休日と所定休日があります。
休日出勤については、このうちどちらの休日に出勤するかによって、休日出勤の取り扱いは異なります。
①法定休日に出勤した場合
1週間に1回の休日を確保できず、休日出勤をした場合、法定休日労働となります。この場合労働基準法で保障された休日が確保できていないため、休日割増1.35の支給が必要です。
以下、例を見てみましょう。
例1:休日割増の支給が必要な場合
曜日 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
労働時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
この場合、1週間に1回も休みが取れていないことになります。
そのため、土曜日については1.35の休日割増賃金の支払いが必要となります。
さらに、月曜日から金曜日まで8時間労働しているため、週40時間を超えてしまいます。
そのため、日曜日については時間外割増賃金の1.25の支払いが必要となります。
②所定休日に出勤した場合
1週間に1回は休日が取得できていますが、所定休日に出勤した場合、所定休日労働となります。この場合所定休日労働を行った、週の労働時間が40時間を超える場合、時間外割増賃金1.25の支給が必要です。週40時間を超えない場合についても、もともと労働義務がない日に労働したため、労働分の1.0については支給が必要となります。
以下、それぞれ具体的なケースを見てみましょう。
例2:時間外割増賃金の支給が必要な場合
曜日 |
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
労働時間 |
休日 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
この場合、週に1回の休日が確保できているため、休日割増賃金の支払いは必要ございません。
しかし、月曜日から金曜日までですでに40時間労働してるため、土曜日の労働時間分に対して、1.25の時間外割増賃金の支払いが必要となります。
例3:所定外労働時間分の賃金が必要な場合
曜日 |
日 |
月 |
火(祝日) |
水 |
木 |
金 |
土 |
労働時間 |
休日 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
8時間 |
休日 |
この場合、週40時間を超えておらず、週に1回以上の休日も確保できているため、割増賃金の支払いは必要ありません。
しかし、本来休日であった火曜日に労働をしているため、この火曜日の労働分の賃金は通常の月給に含まれていないため、所定外労働となり1.0のお支払が必要となります。
休暇について
(1)休暇の定義
ここまで、休日について詳しくご説明してきました。次に休暇についてご説明していきます。
休暇とは、「もともとあった労働義務が申請等で免除された日」をいいます。
例えば産前産後休暇は、本来労働の義務があったが、妊娠していることを理由に労働義務を免除された日となります。
(2)休暇の種類
休暇の種類は以下のように分類することができます。
- 法律で定められた休暇
年次有給休暇、産前産後休暇、育児休暇、介護休暇、看護休暇、生理休暇
裁判員休暇など
上記の内、有給休暇を除く休暇について会社は賃金を支払う義務はありません。
- 会社の任意で定めた休暇
慶弔休暇、リフレッシュ休暇、バースデー休暇、会社創立記念日
会社は有給無給問わず任意に休暇を定めることができます。
この場合、申請方法等ルールを決める必要があります。
また、賃金の支払有無についても会社が任意で決定することができます。
ただし、無給である場合、従業員にとってメリットがとくにないため有給とすることが望ましいかと考えます。
夏季休暇、冬期休暇については、休暇という名目ですが前述の休日扱いで会社の公休日として付与するのか、公休日に加えて会社独自の休暇として付与するのか決めて頂く必要がございます。
まとめ
このように、休日、休暇について理解しつつ運用していくことが労務管理上大切になります。
弊所では、多数の顧問先様の休日や休暇のお悩みについてたくさんのご相談を承っております。
ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。