就業規則とは?社労士が基礎知識をわかりやすく解説!

よく聞くけれど就業規則とはいったいなにか良くわからない、必要なのか?そんな疑問を抱える会社様も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は就業規則について解説していきます。

 

就業規則とはいったい何?

就業規則とは、従業員が会社で働くために必要なルール全般を定めたものです。

国に法律があるように、会社にも労使双方が守るべき一定のルールが必要です。

就業規則は労働時間や休日、賃金などの労働条件から、懲戒処分や服務規律など多岐に及ぶ、労使間双方が守るべきルールブックであるといえます。

労使間のトラブルを未然に防ぐためにも、就業規則を定めておくことは極めて重要です。

 

就業規則の作成は義務?

常時10人以上の従業員を雇用する使用者は、就業規則の作成、管轄の労働基準監督署への届出が労働基準法第89条により義務付けられています。

もし、作成、届出を怠った場合、労働基準法違反となり同法第120条により、30万円以下の罰金に処される恐れがあります。

常時雇用する労働者が10人未満の場合、作成、届出の法的義務がないことになりますが、労使間のトラブルが起こった際に、従業員の主張に対して反論の根拠となる就業規則がないために、会社側が不利になってしまう恐れがございます。

ですので、10人未満であっても作成しておくことをお勧め致します。届出、10人未満の会社の就業規則について詳しくは「就業規則の届出と意見書の作成方法を詳しく解説!」「就業規則がない場合のリスクとは? 社員が10人未満の会社は就業規則がなくてもいいのか? 」で解説しておりますので、ご覧くださいませ。

 

就業規則を作成するメリット

就業規則を作成するメリットにはどのようなものがあるでしょうか?

それぞれ解説します。

労使間トラブル対応時のモノサシとして利用できる

従業員がトラブルを起こしたり、職場の秩序を乱すような事象が発生した際に、使用者はどのような行為を行った場合に、どのような懲戒処分を行うのかモノサシとして就業規則を利用することができます。

また、労使間トラブルにより裁判等になった場合、労働者の主張に対する反証の根拠となります。

このように、就業規則を作成しておくことは、労使間トラブルの際に会社を守ることにつながります。

 

効率的に労務管理が行うことができる

日々会社を運営していくなかで、様々な事項が発生します。

例えば、従業員の配置転換や出向、従業員の傷病、育児休業や介護休業の取得などここにあげるだけでも様々です。

このような発生しうる事項について、もし、就業規則がなければ事案ごとに会社としてその都度判断しなければなりません。

あらかじめ就業規則に定めておくことにより、事項ごとに就業規則を確認するのみで対応が可能となり、労務管理の効率化につながります。

 

助成金の受給につながる

国や自治体では、人材を雇用している企業を対象とした助成金制度を設けています。

しかしそれぞれの助成金に応じた就業規則の作成、届出を受給要件としているケースが多いです。

そこで要件に応じた就業規則を作成し、助成金制度を利用すれば、従業員の雇用にかかる費用負担を補填したり、軽減したりすることができます。

 

就業規則に記載すべき事項

就業規則に記載する事項には、必ず記載しなければならない「絶対的必要記載事項」と、ルールを定める場合には記載しなければならない「相対的必要記載事項」があります。

加えて、使用者において任意に記載する事項があります。

 

「絶対的必要記載事項」は以下の3項目となります。

  1. 労働時間に関する事項始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  2. 賃金に関する事項賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇を含む)

 

「相対的必要記載事項」は以下の8項目となります。

  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金等及び最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品その他の負担に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 標章及び制裁の種類及び程度に関する事項
  8. その他事業場の労働者の全てに適用される事項

その他、「任意記載事項」として法令で定めた記載事項以外にも、各会社で任意にルールを定めることができます。

法令や労働協約に違反しないものであれば会社の裁量で自由にルールを定めて頂くことが可能です。

 

就業規則作成時のポイント

すべての従業員について定めをすること

就業規則は、事業場で働く労働者の労働条件や服務規律などを定めるものです。

そのため、そこで働くすべての労働者についての定めをする必要があります。

ですので、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトも対象として定める必要があります。

しかし、 パートタイム労働者と正社員とでは、労働時間や賃金など労働条件が異なります。

その場合、パートタイム労働者等 一部の労働者のみに適用される就業規則(例えば「パートタイム労働者就業 規則」)を作成することも可能です。

この場合は一般の就業規則に、 ① 別個の就業規則の適用を受ける労働者は、一般の就業規則は適用されないこと ② 適用除外した労働者に適用される就業規則は、別に定めることを明記してください。

もちろん、これらの別途定めた規程も就業規則ですので、労働基準監督署へ届出が必要です。

 

法令・労働協約に反しないこと

就業規則の内容は、労働基準法第92条の規定により、法令またはその事業所について適用される労働協約に反してはならないと定められています。

就業規則に法令や労働協約に反する内容があった場合、その部分については無効となってしまいます。

そのため、労使間のトラブルで訴訟になったときは、その権利や効果を主張することはできません。

就業規則の作成時はもちろんですが、法令は日々変わりますので自社の就業規則が法令違反となっていないか日々見直しが必要です。

 

会社の実態と見合ったものにすること

就業規則は、会社の労働条件や職場で守るべき規律などを定めるものであるため、その内容は実態に合ったものとしなければなりません。

就業規則の規程項目は多岐に渡り、自社で一から作成されるのは難しいため、 厚生労働省ホームページ等に公開されているモデル就業規則を用いて作成する会社様も多いのではないでしょうか?

しかし、モデル就業規則はあくまでもモデルであるためそのまま用いると事業場の実態とそぐわないものとなり、就業規則としての機能を果たさないばかりか、労使間のトラブルのもととなってしまうかもしれません。

就業規則の作成に当たっては、現在職場で実施している労働者の労働時間、賃金等の労働条件や職場規律などについて整理し、改善したい点も含めて内容を検討することが重要です。

労働条件等は状況に応じて変わっていくものですから、就業規則を作成した後も必要な見直しを行い、常に実態に合ったものに改訂していく必要があります。

 

内容は分かりやすく

就業規則の内容が、複雑で分かりにくかったり、抽象的である場合その解釈をめぐってせっかく作成した就業規則が原因で労使間のトラブルが生じてしまうことにもなりかねません。

就業規則の内容は、だれでも理解できるように分かりやすく、明確なものにしなければなりません。

 

労働者代表の意見を聞く

就業規則は会社が作成しなければならないものですが、労働者の知らない間に一方的に労働条件や服務規律などが変更されることなどのないように、労働基準法では、就業規則の作成又は変更をする場合には、労働者の代表の意見を聴かなければならないと定められています。

意見を聴くとは、文字通り意見を求めるのみで足りるため、同意もらう必要や協議を行う必要はございません。

仮に、労働者の代表の意見が反対であったとしても、その意見に拘束されるものではありません。

もちろん労働条件は労使双方が対等に決定するものなので、労働者代表の意見については参考にする必要はありますが、最終的には会社の判断にて内容を決定する必要があります。

 

まとめ

就業規則の基本的な内容について解説させて頂きました。

労使間のトラブル防止のためにも就業規則をあらかじめ定めてはいかがでしょうか?弊所では就業規則の作成、リーガルチェック等承っております。

作成につきましては、丁寧にヒアリングを行い各社オーダーメイドで作成しております。

ご興味がございましたらぜひ、お気軽にお問い合わせくださいませ。

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