東京で事業を営む企業にとって、複雑化する労働法制や人事労務管理は大きな経営課題です。
これらの問題を解決し、企業の成長を力強くサポートしてくれるのが「社会保険労務士(社労士)」です。
しかし、社労士事務所は星の数ほどあり、「どこに依頼すればいいかわからない」「失敗したくない」と感じている方も多いでしょう。
本記事では、失敗しない社労士選びのポイントを徹底解説するとともに、東京の主要ビジネスエリアごとに、おすすめの社労士事務所を厳選してご紹介します。
目次
東京で社労士を選ぶポイント
社労士は単なる事務手続きの代行業者ではなく、企業の成長を支える人事労務のパートナーです。
長期的な関係を築くため、以下の4つのポイントを必ずチェックしましょう。
立地条件
現在の働き方やニーズに合わせて、立地条件の重要度を判断しましょう。
- 対面での打ち合わせを重視する場合
自社オフィスや主要取引先に近い、アクセスしやすい場所にある社労士事務所を選びましょう。
緊急時の対応もスムーズになります。
- オンライン・リモート対応を重視する場合
物理的な距離はさほど問題になりません。
給与計算や各種手続きをクラウドツールで完結できる体制が整っているかを確認しましょう。
最新のITツールに慣れている事務所は、業務の効率化にも寄与します。
実績
依頼したい業務分野における実績が豊富かどうかは、社労士の信頼性を測る最も重要な指標です。
- 得意な業界・業種
IT、医療、建設、飲食など、自社と同じ業界に特化した実績があれば、業界特有の労務問題や慣習を踏まえた的確なアドバイスが期待できます。
- 得意な業務内容
助成金申請、就業規則の作成・見直し、人事評価制度の構築、労務トラブル対応など、自社の最優先課題に対応できる実績があるかを確認しましょう。
- 企業規模
依頼するにあたり自社と同規模の人数の対応実績が何件ぐらいあるかどうかも重要なポイントです。
サポート内容
顧問契約の範囲内、またはオプションで、どこまでサポートしてもらえるかを確認しましょう。
- コンサルティング体制
単なる手続き代行だけでなく、経営課題を解決するためのコンサルティング(例:働き方改革への対応、生産性向上のための人事制度)を提供しているか。
- ワンストップサービス
税理士、行政書士などの他士業と連携し、税務や許認可申請などもまとめてサポートできる体制があるか確認すると、窓口が一本化できて便利です。
- 正確性・スピード
業務を依頼するにあたり、その業務を正確にかつスピーディにこなすことが重要です。
できるだけ短時間にかつスピード感を持って対応する事務所を選択しましょう。
- 専任担当者が対応
ご依頼企業専任の担当者が付くかどうかも重要です。
専任担当者が付くことで、より細やかな安心できるサービスを提供している事務所を選択しましょう。
- 複数体制
担当者不在でもきちんと対応してくれる事務所を選択しましょう。
料金の比較
社労士の料金体系は事務所によって千差万別です。「顧問料が安い=お得」とは限りません。
- 費用対効果の確認
見積もり内容に、どのサービスがどこまで含まれているか(例:給与計算は別料金か、相談回数に制限はあるか)を詳細に確認し、提供される価値に対して適正な料金かを判断しましょう。
- 相見積もり
複数の事務所から見積もりを取り、比較することで、市場相場と自社の予算に合った最適なパートナーを見つけやすくなります。
- スピード、複数体制
単に料金の比較だけでなく、満足できるサービスなのかは特に重要です。
依頼する業務をスピーディに対応してくれるかどうか、担当者が信頼できるか、そして担当者不在時にも
業務対応できるような複数体制を取っているかなども確認してください。
東京でおすすめの社労士をエリアごとにご紹介!
東京都内の主要エリアには、それぞれ異なるビジネス特性があります。
ここでは、各エリアの特性に合わせた強みを持つ社労士事務所をご紹介します。
あくまでエリアごとの「傾向」であり、最終的には個々の社労士事務所の専門性、実績、そして何より自社との相性が最も重要です。
中央区エリア
金融機関、証券会社、老舗の商業・卸売業などが集まる、歴史と伝統のあるビジネス街です。
このエリアの社労士は、「歴史と実績」を持つ事務所や、金融業など特定の業界に対する高度な専門性を強みとするところが見られます。
経営者側の視点に立った労働問題の対応や、安定した企業運営を支える労務管理など、専門性と安定感を求める企業に向いています。
社会保険労務士法人ベスト・パートナーズ
社会保険労務士法人ベスト・パートナーズは、東京・大阪に事務所を持つ、職員30名の全国対応の事務所です。
私たちは、おもてなしの精神で次の3つの行動指針をもとに日々活動しています。
- 寄り添う・・・クライアント様に寄り添いよきブレーンとして行動する
- 先回り・・・・クライアント様の半歩先回りして痒い所に手が届くサービスを展開します
- ひと手間かける・・・クライアント様のサービスにひと手間かけることによりよい感動を呼ぶサービスを展開します
私たちのクライアント様は上場企業から一人親方まで、650社以上。業種も多岐にわたり、労務に関する手続きや給与計算までお引き受けしています。
【3つの特徴】
- 大阪、東京2拠点で全国対応
- 医療・介護業界のクライアントは全国に数百事業所
- 労務DDやセミナー実績豊富(セミナーは年間100回以上開催)
【事務所概要】
| 住所 | 東京都中央区入船1丁目1番26号 永井ビル5F |
| 営業時間 | 9:00~18:00(平日) |
| 得意業務 | 労務DD、労務トラブル相談(年間1000件以上)、就業規則作成(2500件以上)、創業支援など
社会保険事務処理・・・650社(現在) |
| 得意業界 | 医療介護業界、建設業界、運輸業界、IT業界、飲食業界など |
| 事務所の特徴 | 社会保険労務士10名以上在籍、行政書士、産業カウンセラーなど有資格者多数在籍 |
千代田区エリア
大企業・老舗企業・官公庁が集積する日本のビジネスの中枢です。
このエリアの社労士は、コンプライアンス(法令遵守)に対する意識が非常に高く、堅実で実績豊富な事務所が多い傾向にあります。
大企業の複雑な人事制度の運用、IPO(株式公開)支援、弁護士や税理士など他の専門家と連携した高度なワンストップサービス、あるいは国際案件に対応するための多言語対応(英語・中国語など)を強みとしている場合があります。
信頼性や組織力、総合力を重視する場合に適しています。
木村社会保険労務士事務所
木村社会保険労務士事務所は、東京都千代田区(市ヶ谷駅前)に拠点を置く、開業20年以上の実績を持つ事務所です。
特定社会保険労務士である木村晃子代表のもと、社会保険・労働保険の手続きから、複雑な給与計算、就業規則の整備まで、企業の人事労務をワンストップでサポートしています。
20年以上の実績に裏打ちされた安心感と、時代に合わせた柔軟な提案を兼ね備えた、頼れるパートナーです。
【3つの特徴】
- 市ヶ谷駅徒歩1分の好立地と20年超の実績
- 「働き方改革」への積極的な取り組み
- 「労働トラブル」の解決に強い
【事務所概要】
| 住所 |
東京都千代田区九段北4-2-2 桜ビル801
|
| 営業時間 | 平日 9:00~18:00(※電話受付時間等の詳細は直接お問い合わせください) |
| 得意業務 | 労働・社会保険の手続き代行(新規加入・年度更新含む)、就業規則・諸規程の作成、人事労務管理の相談、助成金・奨励金の申請代行、年金記録調査・裁定請求 |
| 得意業界 | 特定の業界に特化せず、千代田区周辺の中小企業全般を広くサポートしています。 |
| 事務所の特徴 | 女性の特定社労士が代表を務め、きめ細やかで誠実な対応が特徴。
都内の働き方改革関連プロジェクトにも積極的に参加している「実践型」の事務所です。 |
新宿区エリア
東京都庁を抱えつつ、西新宿のオフィス街から多様な中小企業、IT企業、人材サービス、飲食・小売業まで、企業の規模や業種が非常に多様なエリアです。
このため、社労士事務所も幅広い業種・規模のニーズに対応できる、バランス感覚とフットワークの軽さを備えたところが多いと考えられます。
最新の法改正への迅速な対応や、多様な働き方(時短勤務、Wワークなど)に関する相談など、柔軟な対応力が期待できるエリアです。
社会保険労務士 齋藤事務所
社会保険労務士 齋藤事務所は、新宿を拠点に一都三県の企業を強力にバックアップする、戦略重視の社労士事務所です。
代表の「人事戦略で勝てる会社を作る」という理念のもと、トラブルを未然に防ぐコンプライアンス支援から、業績向上に直結する人事評価制度の構築まで、経営に深く踏み込んだサポートを提供しています。
ITを駆使した効率的な業務体制を整えつつ、「高サービス・低コスト」を両立させており、初めて社労士と契約する中小企業のオーナー様にとっても非常に相談しやすい、現代的で頼もしいパートナーです。
【3つの特徴】
- 「攻め」の人事戦略とコンサルティング
- 圧倒的なコストパフォーマンス
- IT活用(ネットde顧問)による迅速対応
【事務所概要】
| 住所 |
東京都新宿区西新宿7-18-12 NOVA西新宿ビル1F
|
| 営業時間 | お問い合わせください。 |
| 得意業務 | 人事・賃金制度コンサルティング、職場のトラブル解決・コンプライアンス、就業規則の整備、給与計算・勤怠管理代行、助成金申請、社会保険手続き |
| 得意業界 | 特定の業界に限定せず、成長を目指す中小企業全般 |
| 事務所の特徴 | 新宿駅からアクセス良好。設立10年を超え、代表の齋藤順孝氏を中心に「人材を宝」とする熱意あるサポートが特徴。
インスタグラムやX(旧Twitter)での発信も積極的。 |
渋谷区エリア
IT企業、スタートアップ、ベンチャー、クリエイティブ系の企業が日本で最も集中しているエリアの一つです。
社労士事務所も「ベンチャー支援」「スタートアップ特化」を明確に掲げている場合が多く、成長フェーズに合わせた人事制度構築(ストックオプション含む)、助成金の積極的な活用提案、クラウド勤怠・給与システム(HRテック)の導入支援などに強みを持つ傾向があります。
スピード感を重視し、新しい働き方への理解が深い社労士を探す場合に適しています。
社会保険労務士法人ヒューマン・シナジー
社会保険労務士法人ヒューマン・シナジーは、IT業界とスタートアップに特化した「人事の伴走者」です。
最大の特徴は、社労士が単なる法律の専門家ではなく、IT企業の現場出身者であること。業界独自のスピード感や組織課題を深く理解しているため、マニュアル通りではない「自社にフィットする回答」がすぐに得られます。
「チャットで気軽に相談したい」「急拡大に耐えられる組織を作りたい」といった、現代的な企業のニーズに応える柔軟なサービスを提供しており、成長フェーズにある企業の強い味方となる事務所です。
【3つの特徴】
- IT業界の人事現場に精通した「人事社労士」
- スタートアップの立ち上げ・急成長をスピード支援
- IT・AIを駆使した迅速かつ手軽な相談体制
【事務所概要】
| 住所 |
東京都渋谷区神泉町20-21 クロスシー渋谷神泉ビル6-10
|
| 営業時間 | 平日 9:00~17:30(土日祝を除く) |
| 得意業務 | スタートアップ支援、人事制度設計(評価・賃金)、労働法務コンサルティング、労使トラブル対応、助成金活用、給与計算・手続きアウトソーシング |
| 得意業界 | IT業界、スタートアップ・ベンチャー企業 |
| 事務所の特徴 | 「顧問社労士をもっと身近に」を掲げ、法的な手続きだけでなく、企業の「人事担当者」のような立ち位置で伴走。
渋谷と九段下の2拠点で活動しています。 |
港区エリア
外資系企業、IT・通信、コンサルティングファーム、大使館などが集積する、非常に国際色の豊かなエリアです。
最大の特徴は、「外資系企業特化」「国際人事」を専門とする社労士事務所が多いことです。
英語対応(バイリンガルスタッフ)はもちろん、海外本社との直接コミュニケーション、駐在員(Expat)の労務管理、グロスアップ計算といった外資系特有の複雑なニーズに対応できるノウハウが期待できます。
社会保険労務士法人HRビジネスマネジメント
社会保険労務士法人HRビジネスマネジメントは、外資系企業にとっての「日本における最高のパートナー」を目指す専門家集団です。
単なる手続きの代行にとどまらず、海外本社との直接的な英語対応や、複雑なグロスアップ給与計算、英文就業規則の整備など、一般的な社労士事務所では対応が難しいグローバルな課題をワンストップで解決します。
「日本の労務を本国にどう説明すればいいか」「海外出向者の給与計算が複雑で困っている」といった、国境を越える人事労務の悩みを世界基準のサービスで支えてくれる頼もしい事務所です。
【3つの特徴】
- 外資系・国際人事に特化した圧倒的な専門性
- 海外本社と英語で直接コミュニケーション可能
- 高品質な英文レポートと独自システム
【事務所概要】
| 住所 |
東京都港区芝公園1-2-4 STビル
|
| 営業時間 | お問い合わせください。 |
| 得意業務 | バイリンガル給与計算(グロスアップ対応)、英文就業規則の作成・改訂、エクスパット・海外赴任者支援、社会保障協定の適用 |
| 得意業界 | 外資系企業(日本支店・日本法人)、海外展開している日系企業 |
| 事務所の特徴 | 国際会計事務所や法律事務所での経験を持つバイリンガル社労士が在籍。
英語でのレポーティング能力と、特殊な給与計算ノウハウを兼ね備えた「グローバル人事のプロ集団」です。 |
失敗しない社労士選びのポイント
「働き方改革」「人手不足」「多様な雇用形態」など、現代の企業経営において「人」に関する課題はますます複雑化しています。
社会保険労務士(社労士)は、こうした労務管理の専門家として企業の健全な発展を支える重要なパートナーです。
しかし、「誰に頼んでも同じ」ではありません。自社に合わない社労士を選んでしまうと、コストがかかるだけでなく、最悪の場合、労務トラブルを招くことにもなりかねません。
失敗しない社労士選びのために、経営者が必ず押さえるべき4つの重要ポイントをご紹介します。
自社の課題をリストアップする
まず最初に行うべきは、「なぜ社労士を探しているのか」「何を一番解決してほしいのか」を明確にすることです。
社労士の業務は非常に幅広く、それぞれに得意分野があります。
「給与計算や社会保険手続きのアウトソーシング」に強い事務所もあれば、「IPO(株式上場)支援や高度な人事制度の構築」に特化している事務所もあります。
<課題の例>
- 手続き代行: 面倒な入退社手続きや給与計算を丸ごと任せたい。
- ルール整備: 法律に沿った就業規則を整備したい。法改正に対応できていない。
- トラブル対応: 残業代未払いやハラスメントなど、労務トラブルを予防・解決したい。
- 経営支援: 活用できる助成金を提案してほしい。社員のやる気を上げる評価制度を作りたい。
自社の課題が明確であればあるほど、「ウチは御社のその課題、得意ですよ」という社労士と出会うことができ、ミスマッチを劇的に減らせます。
ホームページで実績を確認する
課題が明確になったら、候補となる社労士事務所のホームページをチェックします。
ホームページは、その事務所の「顔」であり、専門性が色濃く反映される場所です。
特に以下の点に注目してください。
- 専門性・得意分野: 「IT業界専門」「スタートアップ支援」「助成金申請に強い」など、自社の業種や課題と一致する強みが明記されているか。
- 具体的な実績・事例: 「〇〇の問題をこう解決した」「顧問先の声」などが具体的に紹介されているか。抽象的な美辞麗句ばかりのHPは注意が必要です。
- 情報発信(ブログなど): 最新の法改正情報や、自社が抱える課題に近いテーマの記事があるか。その内容が分かりやすいかも、知識レベルや人柄を判断する材料になります。
- 料金体系: 顧問料やスポット業務の料金が明記されているか。料金体系が明確な事務所は、信頼できる傾向にあります。
相見積もりと無料相談を依頼する
HPで2~3社に候補を絞り込んだら、必ずコンタクトを取り、「相見積もり」と「無料相談(面談)」を依頼しましょう。
相見積もりで確認すること 単なる料金の安さだけで決めてはいけません。「その料金に、どこまでのサービスが含まれているか」を詳細に比較することが重要です。
(例)顧問料に給与計算は含まれるか?
(例)訪問や電話相談の回数に制限はあるか?
無料相談(面談)で確認すること これが最も重要です。
社労士には、給与や社内の人間関係といったデリケートな情報を開示することになります。「この人(事務所)を信頼できるか」という相性を肌で感じてください。
- こちらの話をしっかり聞いてくれるか?
- 専門用語を使わず、分かりやすい言葉で説明してくれるか?
- 自社の業界や課題に対する理解度が高いか?
- 質問しやすい雰囲気か?
「この人になら何でも相談できそうだ」と直感的に思える相手を選びましょう。
レスポンスの速さをチェックする
労務問題は、時に「待ったなし」の緊急事態を伴います。
- 従業員が重大な労災事故に遭った。
- 労働基準監督署が「明日調査に行く」と連絡してきた。
- 退職勧奨した従業員とトラブルになった。
このような緊急時に、「顧問社労士に電話が繋がらない」「メールの返信が翌々日」では、対応が後手に回り、事態が悪化しかねません。
無料相談の申し込み時や、その後のメール・電話のやり取りで、対応のスピード感を体感してください。
常に即レスである必要はありませんが、問い合わせに対して「いつまでに回答できるか」といった一次返信が早い事務所は、業務体制がしっかりしており、いざという時も安心です。
まとめ
東京には、企業の多様なニーズに応える専門性の高い社労士事務所が数多く存在します。
社労士を選ぶ際は、単に自宅やオフィスからの立地だけでなく、自社の課題と合致する専門分野や実績、そして担当者とのコミュニケーションの相性を重視してください。
本記事が、貴社の成長を加速させる最適なパートナーを見つけるための一助となれば幸いです。