通常、事業主(代表取締役など)、役員(労働者性がないもの)、個人事業主等の経営者は労災保険に加入することは出来ず、常に仕事中のケガに対してリスクを抱えています。
保険代理店等を通して民間の保険に加入するのも手ですが、労災保険には特別加入という仕組みがあります。
一般的に、以下のような方々の労災保険への特別加入者を「一人親方(等)」と呼んでいます。
- 従業員を雇用していない個人事業主
- 従業員を雇用していない法人格の代表取締役
建設業が代表的ですが、個人タクシー、運送業、漁師、林業、ITなど他の業種向けのものもあります。(※タクシー、運送業、漁師等は通勤災害は適用されません)
当事務所では、建設業の一人親方労災特別加入の申請を取り扱っております。以下解説していきます。
仕事中にケガをした場合における労働者と個人事業主の違い


一人親方の労災保険特別加入の補償内容
(1)業務中にケガをした際に原則無料で治療が受けられる
一人親方が現場作業中にケガをした場合…
①法人格の代表取締役である=健康保険に加入している
労災(業務中のケガ)には健康保険は使えない!⇒治療費は全額10割負担となります。
②法人格でない個人事業主の方など、国民健康保険に加入している方であれば保険証は利用可能です。
ただし、労災保険に特別加入していれば、原則治療費は不要となります。
(2)業務中のケガが原因により休業することになった場合、休業補償の給付がある
(3)業務中のケガにより障害が残った場合、障害補償がある
(4)万が一業務中の事故により死亡した場合、一定の遺族の人数に応じた遺族への補償がある
労災特別加入における、これらの補償額は、国に支払う保険料(※給付基礎日額)によって変わります。
休業した場合の補償内容について確認してみましょう!

なお、給付基礎日額は、休業、残障害、死亡時の補償にのみ影響します。
⇒それ以外の仕事が問題なく出来る程度のケガの治療には影響しないため、給付基礎日額を抑えて、休業等の不足の事態には民間保険でカバーをする…といった選択も可能です。
一人親方の労災保険の特別加入の流れ
以下の通り、一人親方の方が直接国に、労災特別加入を申請することは出来ません。


常時社労士が在籍していない事務組合等もあり、そういった団体を通して労災特別加入されますと、いざ労災が起きた時の手続きには不安があります。
例えば当事務所のように労災申請のプロである社労士事務所の中に設置されているような特別加入団体、事務組合を選ばれることをおすすめします。
当事務所では、法人格の一人親方の方に関しては、社会保険に関するご相談にのることも可能です(※実務代行は別費用にて)
注意点
造園業は建設業に該当しないことがありますため、詳しい業務内容について事前にご相談下さい。
- 原則として、一人親方の労災特別加入制度においては、事務所内での打ち合わせなど、職人としての現場作業以外の事故は対象外となります。
- 労災特別加入前に既に抱えている疾病、故障、障害等の延長線上にある災害は補償されない可能性があります
- 重大事故・死亡事故における国の実地調査への立ち合いは別途費用を頂戴致します
- 除染作業に従事される方の場合は事前にご相談下さい(被ばく線量管理が必要)
加入要件について

参考:一人親方の方があわせて加入を検討された方がよい民間保険

★幣事務所では安心して任せることが出来る保険代理店をご紹介しております、ぜひお気軽にお問い合わせください。
最後に
近年は一人親方の労災特別加入制度に加入していないと仕事が出来ない、現場に入れない、受注出来ないといった事例が増えています。
また、従業員を雇われている代表の方が現場に入る際には、一人親方ではなく中小事業主等特別加入(※ほぼ内容は一人親方と同じです)という制度を利用することとなりますが、当事務所では、こちらも取り扱っております。
なお、法人格の方は社会保険の加入が適切にされていないと同じく現場に入れないといった対応が当たり前といった傾向にあります。
建設業の事業主の皆さま、労働保険や社会保険についてお困りの際はお気軽にご相談下さい!