交通費と通勤手当について

会社から支給されるお金にはさまざまなものがあります。

今回は交通費と通勤手当について説明します。

交通費と通勤手当の違い

交通費とは、出張や営業の外回りなど、通勤以外で業務上必要な移動にかかる費用を指すことが多く、旅費交通費と呼ばれることもあります。

一度従業員側で負担(立て替え)し、それを後日会社側が返金するという意味合いが強いもの(長期出張や海外出張の場合は、事前に仮払いすることが多くみられます)を言います。

 

一方、通勤手当とは、通勤費や通勤交通費とも呼ばれます。

従業員の自宅(出張先のホテル含む)から就業場所までにかかる移動費用を言います。

例えば通勤区間の定期代などです。法的な支払い義務はありませんが、多くの会社では福利厚生の一つとして支給しています。

このように交通費を通勤手当には意味の違いがあります。違いをまとめると以下の通りです。

交通費 外出や出張など業務上で必要な移動に係る経費
通勤手当 従業員の通勤にかかる費用を支給する手当

 

交通費と通勤手当は賃金に含まれる?

それぞれ意味がことなる交通費と通勤手当ですが、それぞれ給与に含まれるのかも確認しましょう。

まず、労働基準法では賃金の定義を以下のように定めています。

賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。”

引用:労働基準法第11条|e-Gov

交通費は、一度従業員側で負担し、後日会社側が返金(精算)するのが一般的です。

業務遂行上必要な経費を立て替えただけなので、原則賃金には含まれません。

通勤手当は、従業員の自宅から会社までにかかる移動費用のことを言います。定期減の現物や定期券代などのお金を毎月同じ額で支払う場合、これは賃金に含まれます。

引用:厚生労働省

社会保険料の報酬に交通費と通勤手当は含まれる?

さきほどは労働基準法上の賃金に含まれるかについて確認しました。

次は社会保険料を計算する際のもととなる「標準報酬月額」を算出する際に含まれるのか確認してみましょう。

まず、社会保険上の報酬の定義は労働基準法上と少し異なります。

【標準報酬月額の対象となる報酬は、次のいずれかを満たすものです。

ア.被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること。

イ.事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの。】

引用:日本年金機構(厚生年金保険の保険料)

 

通勤手当は、社会保険料の報酬に全額含める必要があります。

一方、出張の移動費のように実費弁償的性質を持つ交通費は、社会保険料の報酬には含めません。

 

通勤手当を社会保険料の報酬に含む、ということは年1回標準報酬月額を決定しなおす“定時決定(算定基礎届)”においても考慮しなければならない、ということになります。

まとめ

通勤手当に関する明確なルールは法律で定められていません。

しかし、通勤手当は原則として賃金に含める必要があり、平均賃金などの計算に影響を与えますが、残業計算の算定計算には含めなくても良いです。

また、通勤手当には所得税の非課税限度額もあります。

通勤手当のルールを理解し、正しく従業員に手当を支給しましょう。

 

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