職場での健康診断の種類や費用について解説!

会社は、労働安全衛生法第66条にもとづき、医師による健康診断を実施する義務があります。

また、労働者にも健康診断を受診する義務があります。

労働者の健康確保のため、毎年しっかり健康診断を実施して、結果を確認していくことが重要です。

今回は、職場で実施が義務付けられている雇い入れ時の健康診断と定期健康診断について確認していきましょう。

 

健康診断の種類

実施義務のある健康診断は、大きく分けて5つあります。

  1. 雇い入れ時の健康診断
  2. 定期健康診断
  3. 特殊健康診断
  4. じん肺健診
  5. 歯科医師による健診

 

今回はそのうちの①雇い入れ時の健康診断、②定期健康診断について、詳細を確認していきます。

これらふたつを合わせて、「一般健康診断」といいます。

 

雇い入れ時の健康診断

雇い入れ時の健康診断は労働者を雇用した際に実施する健康診断です。

雇い入れ時の健康診断は常時使用する労働者が対象です。

 

常時使用する労働者とは、

  • 正社員
  • 週の所定労働時間が正社員の3/4以上で1年以上の雇用が見込まれるパート・アルバイト

です。

正社員のみが対象ではない点に注意しましょう。

上記以外のパート・アルバイトは雇い入れ時健康診断の義務はありませんが、実施してももちろんかまいません。

 

雇い入れ時の健康診断の項目は次の通りです。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

 

雇い入れ時の健康診断に省略可能な項目はありません。

ただし、入社前3か月以内の診断結果を提出してもらうことで、雇い入れ時の健康診断の代わりとすることが可能です。

その際は必要項目すべての結果があるかの確認が重要です。もし診断のない項目があればその項目を追加で受診してもらうようにしましょう。

 

定期健康診断

定期健康診断は1年以内毎に1回実施義務のある健康診断です。

こちらも常時使用する労働者が対象です。雇い入れ時の健康診断と同様、正社員以外でも対象となりえる点に注意です。

 

定期健康診断の項目は次の通りです。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
  4. 胸部エックス線検査、喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
  7. 肝機能検査(GOT、GPT、γ―GTP)
  8. 血中脂質検査(LDLコレステロール,HDLコレステロー ル、血清トリグリセライド)
  9. 血糖検査
  10. 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
  11. 心電図検査

ただし、身長・復位・胸部エックス線検査・喀痰検査・貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査については医師が必要でないと認めるときに省略できる場合があります。

 

その他の定期健康診断

一般健康診断にはこれらのほかに、

  • 特定業務従事者の健康診断
  • 海外派遣労働者の健康診断
  • 給食従業員の検便

があります。

特定業務従事者の健康診断は、特殊健康診断と一緒に他の記事で詳しくご紹介いたします。

海外派遣労働者の健康診断は、海外に6か月以上派遣する労働者に対して、派遣する際及び帰国後国内業務に就かせる際に実施します。

給食従業員の検便は事業に付属する食堂・炊事場での給食の業務に従事する労働者に対して、雇い入れの際及び配置替えの際に実施します。

 

健康診断の費用はどうなる?

これらの一般健康診断について、健康診断の費用は会社が負担します。

健康診断は医療保険が適用されませんので、各医療機関で金額設定が異なる自由診療となっています。

受診予約の前に費用の確認をお忘れなく。

ただし、必要な項目以外のオプション検査を労働者が希望し実施する場合は、その費用は労働者の負担となります。

ちなみに、一般健康診断は会社と労働者に課せられた義務ですので、就業時間中に実施する場合はその費用は労働者の負担となります。

ちなみに、一般健康診断は会社と労働者に課せられた義務ですので、就業時間中に実施する場合は業務とみなします。

 

健康診断を実施したあとは・・・

健康診断実施後、会社では以下の取り組みが必要です。

①健康診断の結果の記録

健康診断個人表を作成し、一般健康診断の場合は5年保存が必要です。

②健康診断結果についての医師からの意見聴取

異常の所見のある労働者について、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聞かなければなりません。

③健康診断実施後の措置

②の医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは労働時間の短縮などの適切な措置を講じなければなりません。

④健康診断結果の労働者への通知

健康診断結果は労働者に通知しなければなりません。

⑤健康診断結果に基づく保健指導

健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要のある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません(努力義務)

⑥健康診断結果の所轄労基署長への報告

健康診断の結果は遅滞なく、所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。(一般健診は常時50人以上の労働者を使用する場合のみ義務)

 

おわりに

健康診断は労働者の健康管理を適切に行い、健康リスクを把握するための重要な会社の義務の一つです。

適切な健康診断を実施しない場合、会社側には「50万円以下の罰金」の罰則もあります。

特に定期健康診断は、1年ごとに1回、必ず実施するよう気を付けましょう!

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