平均賃金とは
平均賃金とは、一般的な言葉のイメージから連想される「給与の相場」ではなく、労働基準法第12条に規定された概念です。
これは、労働基準法で定められた後述の手当や補償、減給の制裁等を算定する際に用います。
主な算定事由
平均賃金は、下記の金額の算定のために使用されます。
- 労災補償(労働基準法法第76条から82条、労災保険法)
- 休業手当(労働基準法第26条)
- 解雇予告手当(労働基準法第20条)
- 有給休暇に対する賃金(労働基準法第39条)
- 減給の制裁(労働基準法第91条)
計算方法
1、原則
平均賃金は、原則として下記の計算式で求められます。
※1銭未満切り捨て
「平均賃金=直近3か月間の労働に対して支払われた賃金÷直近3か月間の暦日数」
※1銭未満切り捨て
ここでいう「直近3か月間」とは、算定事由の発生した日の直前の賃金締日から遡って3か月で、賃金締日に事由発生した場合は、その前の締日から遡及します。
なお、下記の賃金については、計算に含めませんのでご注意ください。
- 臨時に支払われた賃金
- 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 現物給与
2、最低保障額
賃金が時間額や日額、出来高給で決められている方で、下記の計算結果が原則の計算式で求めた金額より高額な場合は、こちらを適用します。
これを平均賃金の最低保障額といいます。
「最低保証額=直近3か月間の労働に対して支払われた賃金÷直近3か月間の労働日数×60%」
※1銭未満切り捨て
なお、賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた(=勤怠によって、賃金が変動する)場合、その部分のみ最低保障の適用があります。
3、雇い入れから3か月以内に算定事由が発生した場合
(1)算定事由の発生が、賃金締日より後の場合
雇い入れから直近の賃金締日までの期間で計算します。
(2)算定事由の発生が、賃金締日以前の場合
雇い入れから算定事由が発生した日の前日まで期間で計算します。
4、控除期間
平均賃金の算定期間に、下記の期間がある場合は、その期間の日数・賃金を控除します。
- 業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
- 産前産後休業期間
- 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
- 育児・介護休業期間
- 試用期間
なお、試用期間中に算定事由が発生した場合は、試用期間賃金・日数は控除せずに、計算に使用します。