社会保険改正について

令和7年6月13日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が成立し、社会保険(厚生年金・健康保険)の加入対象者が拡大されました。

さらに、令和7年度税制改正により、19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変更となりました。

改正については、以下の通りとなります。

現行の社会保険の加入対象者

現行の社会保険制度では、常時1名以上の従業員が働いている法人の事業所と常時5名以上の従業員が働いている法定17業種に該当する事業所が法律上社会保険に必ず加入する事業所として定められています。(適用事業所)

※法定17業種とは

鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、卸売業、金融業、不動産、学術研究、教育、医療、複合サービス事業、士業等の業種のことをいいます。

上記以外の事業所については、法律上加入する必要はない事業所とされています。(任意包括適用)

 

社会保険に必ず加入することになるのは、適用事業所に使用される常用社員および常時51名以上の従業員を雇う企業等の短時間労働者で4つの要件を満たすと加入対象者となります。

4つの要件

  1. 週の勤務が20時間以上
  2. 月額88,000円以上 ※残業代、賞与、通勤手当、臨時の手当を含みません
  3. 2ヶ月を超えて雇用される見込みであること
  4. 学生でないこと ※休業中、定時制、通信制の方は加入対象者となります

(その他、要件を満たしている場合に個人で加入することが可能となります。)

今回、加入拡大の要件となるのは、以下の3点となります。

  1. 短時間労働者の企業規模要件を縮小・撤廃
  2. 短時間労働者の賃金要件を撤廃
  3. 個人事業所の適用対象を拡大

①短時間労働者の企業規模要件を縮小・撤廃について

今回の改正により、これまで加入対象外となっていた(労使の合意に基づく任意の加入は可能であった対象者)短時間労働者が週20時間以上働けば、働く企業の規模に関わらず社会保険に加入することとなります。

この改正は段階的に縮小・撤廃され、令和9年10月に36名以上の企業、令和11年10月に21名以上の企業、令和14年10月に11名以上の企業、令和17年10月に10名以上の企業が対象となります。

②短時間労働者の賃金要件を撤廃

月額8.8万円以上の要件が撤廃されます。これまで、いわゆる「年収106万円の壁」を意識して収入を抑えて働いていた方が多く見られたため、この壁を意識せずに、ご自身のライフスタイルに合わせて働き方を選びやすくするために撤廃されます。

この改正は、法律の公布から3年以内に、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断されます。

(例えば、時給1,016円以上の従業員が週20時間働くと、年額換算で約106万円となり、週20時間働くと、自動的に社会保険に加入することとなります。)

③個人事業所の適用対象を拡大

今回の改正は、これまで常時5名以上の従業員が働いている法定17業種に該当する事業所(適用事業所)は必ず社会保険の加入対象となっておりましたが、法定17業種に限らず、常時5名以上の従業員を使用する全業種の事業所を適用対象とするよう拡大されます。

ただし、令和11年10月の施行時点で、既に存在している事業所は当分の間、対象外となります。

この改正により、社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する要件をわかりやすくし、労働者の働き方を選びやすくするとともに、将来受給できる年金額を増やすことができるなどの利点が増えることとなります。

社会保険に加入すると

社会保険に加入すると、厚生年金と健康保険から保障を受けることができます。

厚生年金からは、「基礎年金」に「厚生年金」給付が上乗せされ、年金の3つの保障(老齢・障害・遺族)が充実し、安心して老後を迎えるための支えとなります。

さらに、長期で加入をすると老齢年金の保障がさらに充実されます。

健康保険からは、病気やけが、出産のためなどで会社を休んだ場合に、「傷病手当金」や「出産手当金」などで収入を保障することができます。

  • 傷病手当金

業務外の病気やけがで会社を休んだ場合に、(医師の意見書が必要)4日目から、最大1年6ヶ月、給料の2/3の金額が受け取れます。

  • 出産手当金

出産のため会社を休んだ場合に、出産日以前42日から出産日後56日までの期間給料の2/3の金額が受け取れます。

 

社会保険の加入拡大を進めることで、より多くの方が受給できる年金額が増えたり、病気や怪我をして働けない場合にも保障を受けることができるようになります。

社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者の就業調整を減らすための支援策について

政府は、社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者を支援するために、特例的・時限的に保険料負担を軽減する保険料調整の措置を実施することとしております。

  • 対象者

従業員数50名以下の企業などで働き、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となる短時間労働者であって、標準報酬月額が12.6万円以下であるもの

  • 期間

3年間

支援策の内容

基本的に、社会保険料は労使折半(事業主と被保険者が半分ずつ負担)となりますが、この措置の利用を希望する事業主は、事業主の負担割合を増やし、被保険者の負担を軽減することができます。

その際に、事業主が追加負担した分については、その全額を制度全体で支援するものです。

出典:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html#top

19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件の変更

厳しい人手不足の状況により、就業調整を行う方が増えていることから、19歳以上23歳未満の親族等を扶養する場合における特定扶養控除の要件の見直し等が行われました。

これにより、扶養認定を受ける方(被保険者の配偶者を除く。)が19歳以上23歳未満である場合の年間収入要件の取り扱いが変わります。

扶養認定日が令和7年10月1日以降で、扶養認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合(被保険者の配偶者を除く。)は、現行の「年間収入130万円未満」が「年間収入150万円未満」に変わります。

なお、この「年間収入要件」以外の要件に変更はありません。

出典:日本年金機構https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html

最後に

社会情勢により、私たちの働き方が変化することで、社会保険制度の見直し・改正が行われます。

今後も労働者が働きやすい環境となるよう、改正が行われますので、自社の実態把握や情報収集などを行い、社会保険改正に対応することが大切なポイントとなります。

社会保険改正について、ご不明な点がございましたら、お気軽に社会保険労務士法人ベスト・パートナーズまでご連絡いただけますと幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

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