(2025年4月改正施行)改正育児介護休業法について解説!

2025年4月より施行される改正育児・介護休業法は、労働者が仕事と育児・介護を両立しやすい環境を整備するため、重要な改正が行われます。

改正は2025年4月と10月、2回に分けて行われますが、今回は主に「2025年4月」より施行される内容に焦点を当て解説します。

所定外労働の制限(残業免除)の対象者拡大【義務】(就業規則の変更必要)

2025年3月までは3歳未満の子を養育する労働者は「所定外労働の制限」(いわゆる残業免除)を申請可能でした。

2025年4月以降は、対象者が小学校就学前の子を養育する労働者に拡大されます。

これにより、未就学児を持つ親は子育てと仕事のバランスをより取りやすくなります。

子の看護休暇の見直し【義務】名称変更➡「子の看護等休暇」(就業規則の変更必要)

2025年3月までは小学校就学前の子を対象に、病気やけがの看護・予防接種・健康診断のための休暇に限り認められていました。

2025年4月以降は、対象が小学校3年生修了までの子に拡大されます。

さらに、取得事由として感染症による学級閉鎖入園・入学式、卒園式への出席も新たに追加されました。

これにより、保護者は子供の学校行事や緊急時にも柔軟に対応できるようになります。

また、労使協定による除外対象も見直され、週の所定労働日数が2日以下の労働者のみが除外対象となります。

この結果、より多くの労働者が子の看護等休暇を取得しやすくなります。

短時間勤務制度の代替措置にテレワークを追加(選択の際は就業規則等の変更必要)

3歳未満の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度について、業務上の理由で短時間勤務の導入が難しい場合、2025年3月までは育児休業に関する制度に準ずる措置(フレックスタイム制度導入)や始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ等が代替措置として認められていました。

2025年4月以降は、これらに加えてテレワークが新たな代替措置として追加されます。

これにより、企業は多様な働き方を提供し、労働者は自宅での勤務を選択することで、育児と仕事の両立がより容易になります。

(短時間勤務制度を講ずる事が困難と認められる具体的な業務があり、その業務に従事する労働者がいる場合にのみ、労使協定を締結し除外規定を設けた上で代替処置を講ずることになります)

育児のためのテレワーク導入の努力義務化【努力義務】

(選択の際は就業規則等の見直し必要)

事業主は、3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるよう、環境整備に努めることが求められます。

具体的には、テレワークに適した業務の洗い出しや、情報通信機器の整備、セキュリティ対策などが求められます。

これにより、育児中の労働者が柔軟に働ける環境が整備され、仕事と家庭の両立が促進されます。

育児休業取得状況の公表義務の拡大【義務】(従業員数1,000人超➡300人超)

2025年3月までは、常時雇用する労働者が1,000人を超える企業が対象でしたが、2025年4月以降は、300人超の企業にも適用されます。

公表内容は、男性の「育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」です。

年に1回、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、インターネットなど一般の方が閲覧できる方法で公表する必要があります。

これにより、中堅企業においても育児休業取得の透明性が高まり、男性を含む育児休業の取得促進が期待されます。

介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

【労使協定を締結している場合は就業規則等の変更必要】

介護休暇の取得対象者に関する要件が緩和され、労使協定により継続雇用期間が「6か月未満の労働者」を除外する規定が廃止されます。

これにより、「週の所定労働日数が2日以下の労働者のみ」が除外対象となります。

介護離職防止のための雇用環境整備【義務】

①雇用環境整備

事業主は、介護休業や介護両立支援制度の申出が円滑に行われるよう、

以下のいずれかの措置を講じる義務があります。

  • 研修の実施:介護休業や支援制度に関する研修を行う。
  • 相談体制の整備:相談窓口の設置など、労働者が相談しやすい環境を整える。
  • 事例の収集・提供:自社の介護休業取得事例を集め、情報を共有する。
  • 方針の周知:介護休業や支援制度の利用促進に関する企業方針を明確に伝える。

② 個別の周知・意向確認

介護に直面した労働者に対し、事業主は以下の情報を個別に周知し、

制度利用の意向を確認する義務があります。

  • 制度の内容:介護休業や支援制度の詳細。
  • 申出先:制度利用の際の窓口。
  • 給付金情報:介護休業給付金に関する説明。

確認方法は、面談(WEB含)、書面、FAX、メール(FAX,メールは該当者が同意した場合のみ)などで行う必要があります。

③介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供

介護に直面する前の早い段階(40歳等)で、介護休業や介護両立支援制度等の理解と関心を深めるため、事業主は介護休業制度等に関する以下の事項について情報提供しなければなりません。

  • 期間

1.労働者が40歳に達する日(誕生日前日)の属する年度(1年間)

2.労働者が40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間 の「いずれか」

  • 事項

1.介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(制度の内容)

2.介護休業・介護両立支援制度等の申出先

3.介護休業給付金に関すること

情報提供方法は、面談(WEB含)、書面、FAX、メールなどで行う必要があります。

介護のためのテレワーク導入【努力義務】(選択の際は就業規則等の変更必要)

要介護家族を持つ労働者がテレワークを選択できるよう措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

まとめ

記載のとおり、「2025年4月」施行の改正育児介護休業法により、育児や介護と仕事の両立支援が強化されます。

特にテレワークの努力義務化が追加され、育児・介護対象者の働きやすさを重視した法改正となっております。

(できる業種・できない業種がありますが、可能な限り対応することができるよう是非導入の検討をお願いいたします!)

是非制度改正に対応していただき、労働者が働きやすい環境を整備していきましょう!!

 

社会保険労務士法人ベスト・パートナーズが
労務を全力でサポートします!

「労務相談や規則の作成についてどこのだれに相談すればよいのかわからない」
「実績のある事務所にお願いしたい 」
「会社の立場になって親身に相談にのってほしい」
といったお悩みのある方は、まずは一度ご相談ください。

実績2000件以上、企業の立場に立って懇切丁寧にご相談をお受けします!