既にお聞き及びのことと存じますが、2024年12月2日より健康保険証が新たに発行されなくなりました。
今後はマイナンバーカードでの保険証利用を基本とする仕組みに移行していきます。
それに伴い事業主や人事労務担当者が必要となる対応にはどのようなものがあるのでしょうか。気を付けるべきポイントをご紹介していきます。
目次
健康保険証の廃止後に必要な対応
まずは健康保険証の廃止後に事業主や人事労務担当者が対応しなければならないことについて解説します。
①資格情報のお知らせと加入者情報の配布
2024年9月に協会けんぽ又は健康保険組合より「資格情報のお知らせと加入者情報」という文書が各社に郵送されております。
この書類は、協会けんぽが把握しているマイナンバーを従業員本人に確認してもらうこと、また、マイナ保険証に対応していない病院を受診する際に必要となる「資格情報のお知らせ」という用紙を本人に配布することが目的となっているため、確実に各従業員への配布が必要となります。
マイナ保険証を持っている方、持っていない方問わず全員に配布されます。
この書類は、2024年5月までに入社されて社会保険の取得されている従業員(扶養家族含む)の方は9月に、それ以降の社会保険取得分の方々については2025年7月に送付される予定ですので、配布が出来ていない場合はすぐに対応しましょう。
この書類は配布すれば作業は完了であり、回収の必要はありません。
②マイナンバーを紐づけしていない従業員の把握
一方で「いつまで経っても資格情報のお知らせが届かない」というお声も届いておりますが、届かない方は、健康保険の取得の際にマイナンバーの紐づけがされていない場合があります。
社会保険取得時にマイナンバーで手続きしているかの確認を行う必要があります。
③マイナ保険証を使用していない従業員の把握
従業員の中には、どうしてもマイナ保険証を使うことが嫌でマイナ保険証の利用登録をしていない方もいらっしゃるかもしれません。
では、そういった方が12月2日以降に新しく社会保険を取得した場合や、保険証を紛失した場合はどうなるのでしょうか。
新しく資格取得及び紛失が発生しても、新しい健康保険証は発行されません。
代わりに従業員の方へ資格確認書(紙が基本)が発行されます。新規取得の場合は会社を経由して申請することで発行されますが、紛失や棄損の場合は交付の申請が必要となります。
ただし、資格確認書はお持ちの従業員が退職や転籍する場合は、従来の保険証と同様の扱いで、会社から協会けんぽへ返却しなければならないので注意が必要です。
また、資格情報のお知らせと資格確認書を混同しがちなので、これも間違えないようにしましょう。
今後はマイナ保険証や資格確認書について、従業員の方から問合せが増えていくかと思われますので、ケース別に従業員の方の把握と、対応方法について整理しておきましょう。
【ケース別に従業員の対応】
- マイナ保険証への切替手続きが済んでいる方
マイナ保険証対応の医療機関ではマイナ保険証で受診が可能。
対応していない医療機関にはマイナ保険証及び「資格情報のお知らせ」を持参して受診します。(※マイナ保険証対応していない医療機関ではマイナ保険証のみでは受診できません)
マイナ保険証はマイナンバーカードと一体化しているため退職後も会社に返却する必要はありません。「資格情報のお知らせ」も同様です。
- マイナンバーカードを持っていない方
2025年12月1日まで、退職などで被保険者資格を喪失しない限りは従来の健康保険証で受診可能。
新規取得者は12月2日より「資格確認書」が発行されるので、これを持参することで受診可能。
退職や事業所の移転などで資格が異動する場合は従来の健康保険証または「資格確認書」は会社に返却してもらう必要があります。
- マイナンバーカードを持っているけど利用登録が済んでいない方
上記と同様に2025年1月までは従来の健康保険証で受診可能。
新規取得者は新たに発行される「資格確認書」を持参することで受診可能。
上記同様に退職及び異動の場合は従来の健康保険証又は「資格確認書」を返却してもらう必要があります。
スケジュールについて
ここでスケジュールのおさらいをしておきましょう。
- 2024年9月頃に届く「資格情報のお知らせと加入者情報」を各従業員へ配布
- 2024年12月2日以降、新規取得者には資格確認書が届くため、マイナ保険証利用者と「資格確認書」利用者の把握が必要です。
- 2025年1月頃に届く「資格情報のお知らせと加入者情報(2024年10月以降入社分)」を各従業員へ配布
- 2025年12月2日 マイナ保険証を持っていなくても従来の健康保険証の利用が全面的に廃止。この日以降に退職の場合は健康保険証の返却は必要ありません。
- 「資格確認書」の有効期限は5年以内に発行元の保険者が決めますが、返却義務があるかは未定となります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
マイナ保険証を使用できる医療機関やそうでない医療機関によっても、持参するものが異なります。また、今後のスケジュールについても、国民の反発が大きい為変更や延期などが予想されます。今後の流れについても注意深く見ておきたいところです。
健康保険証の廃止やマイナ保険証について何か気になる点やご不安なことがございましたら、ぜひベスト・パートナーズまでご用命ください。