事業所を廃止したり、雇用保険の被保険者である従業員が一人もいなくなってしまった場合には、「雇用保険適用事業所廃止届」を提出しなければなりません。
今回は、廃業時に必要となる雇用保険の手続きについてとりあげます。
目次
雇用保険の適用事業とは
事業所は雇用保険の被保険者を1人でも雇用した場合、その業種や事業規模を問わず、雇用保険に加入しなければなりません。
雇用保険の加入義務のある事業所を雇用保険の適用事業所といいます。
ただし、個人経営の農林水産業で労働者が5人未満の場合、雇用保険の加入は強制ではなく任意となっています。
雇用保険の加入要件については以下のURLをご参照ください。
適用事業の事業主は、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立し、事業が廃止されもしくは終了したときは、その事業についての保険関係はその翌日に消滅することになります。
雇用保険適用事業所廃止届の提出が必要になるケース
以下の要件に該当した場合に提出を行う必要があります。
- 雇用保険の適用事業所を廃止(解散)する場合
- 雇用保険の適用事業所を休止(休業)する場合
- 雇用保険の被保険者が1人もいなくなった場合
雇用保険の被保険者が1人もいなくなった場合には、被保険者が退職した場合の他、労働条件の変更により、雇用保険の加入条件を満たさなくなった場合も含まれます。
雇用保険適用事業所廃止届の提出時期・提出先
雇用保険の適用事業の事業主は、その事業所を廃止するにあたって、廃止の日の翌日から起算して10日以内に、その所在地を管轄するハローワークに「雇用保険適用事業所廃止届」を提出しなければなりません。
本社と支店がある企業で、支店の廃止をする場合は、支店を管轄するハローワークで手続きをします。
本社を管轄するハローワークではないので注意してください。
提出書類と添付書類
雇用保険適用事業所廃止届を提出するときの添付書類は以下の通りです。
- 事業所の解散の登記簿謄本等、事業所の廃止を証明できる書類
- 全被保険者の雇用保険被保険者資格喪失届・離職証明書
全被保険者の雇用保険被保険者資格喪失届が提出されないと雇用保険適用事業所廃止届は受け付けてもらえないので、必ず全員分を添付するようにしてください。
雇用保険適用事業所廃止届の記入例
雇用保険適用事業所廃止届を記入する場合の作成手順を説明します。
事業所番号
事業所番号とは雇用保険適用事業所番号のことを言い、雇用保険に加入する会社に付与される11桁の番号です。
ハローワークに雇用保険適用事業所設置届や雇用保険被保険者取得届を提出した後に、雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)が交付され、これに当該番号が記載されています。
設置年月日と廃止年月日
それぞれ適用事業所を設置した日、廃止した日を記入します。
年月日が1桁の場合は、0を記入します。(例:令和6年4月10日の場合は、06年04月10日となります。)
廃止区分
廃止区分は、以下のいずれかに該当する番号を記入します。
1:事業所の廃止
4:事業所の統合に伴う事業所の廃止
以下の部分には廃止する適用事業所の情報を記入します。
労働保険番号
労働保険番号とは、労働保険番号は、労働保険への加入証明として事業者や企業に付与される14桁の番号です。
インターネット検索などでは確認できないので、保険関係成立届などで確認しましょう。
廃止理由
雇用保険適用事業所廃止届を作成(提出)するに至った理由を記載しましょう。(例:事業所の廃止)
欄外の部分には提出する事業主の情報を記入します。
日にちを記入する欄
適用事業所廃止届を提出する日を記入します。
公共職業安定所長 殿 欄
事業所がある地域を管轄するハローワークの名称を記入します。
事業主
住所、名称、氏名、電話番号をもれなく記入しましょう。
雇用保険適用事業所廃止届の手続きまとめ
手続きの内容は下記の通りです。
手続き要件 |
|
提出先 | 事業所を管轄するハローワーク |
提出期限 | 雇用保険の適用事業所を廃止、休止した日
または 雇用保険の被保険者が1人もいなくなった日の翌日から10日以内 |
提出方法 | 窓口持参・郵送・電子申請 |
添付書類 | 事業所廃止の事実が確認できるもの
(解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピーなど) 雇用保険 被保険者資格喪失届 雇用保険 被保険者離職証明書 |
まとめ
事業所を廃止する場合には、雇用保険適用事業所廃止届の他にもいろいろな届け出や手続きが必要となります。
手続きを忘れてしまうと、会社だけでなく、従業員とのトラブルにつながってしまう可能性もあるので、忘れずに手続きをしましょう。
雇用保険適用事業所廃止届の手続きについて何かご不明点がございましたら、お気軽に社会保険労務士法人ベスト・パートナーズにご連絡くだされば幸いです。
執筆者:福田あかね