もし、普通に勤務していて突然「海外赴任」を言い渡されたら・・・・・
びっくりする方もいらっしゃれば、海外で勤務が夢だった方もいるかもしれません。
今回は「海外赴任」と「社会保険」を題し、記事を書いていきます。
海外赴任が決定した方や、海外に支店がある企業の人事担当者、これから海外で勤務したい方は必見!!!
参考になれば嬉しいです!!
仕組み
社会保険とは主に「健康保険」と「厚生年金保険」に分かれます。
(社会保険辞退の詳細は別の記事をご覧ください)
日常生活で思いつくのは「病院に行くとき」や「将来の年金の蓄え」などになります。
シンプルに書くと「日本企業に籍を置いている(主に出向)」か「海外法人に籍を移す(転籍)」に分かれます。
まずはどちらかを確認してください。
まず「日本企業に籍を置いている」場合は、原則日本の社会保険制度に加入し続ける事になります。
従って手続きは不要です。ただし、海外の医療機関に行く際は「建て替え」になりますので、
後日日本の健康保険に「海外医療費(療養費)支給申請書」を提出することになります。
「健康保険」「厚生年金」それぞれで見ていきましょう。
海外赴任時の健康保険はどうなる?
日本の会社に在籍しながら海外赴任をする場合は、海外でも健康保険の支払いと加入が継続します。
従って保険証もそのまま持ち続ける事になります。
ただし、保険証は海外で使用できませんので、現地で通院後、後日日本の保険者(協会けんぽか健康保険組合)へ「海外医療費(療養費)支給申請書」を提出すると、審査後一部が返金されます。
ちなみに、国内企業から給与がまったく支払われず、海外企業から給与が全額支払われる場合や、海外法人に転籍となる場合は、健康保険の被保険者資格は喪失してしまいます。
その場合は、基本的に滞在国の健康保険制度に従うことになります。
海外赴任時の厚生年金はどうなる?
基本的には所属会社で厚生年金に加入し続けます。
ただ、そうすると日本と赴任先で2重加入にならないか心配です。
そこで、赴任先の国が「社会保障協定」を締結しているかが重要になってきます。
「社会保障協定」とは、日本と海外で健康保険や年金などの社会保険制度に二重で加入する状態になった際に、日本で発行した証明書を提示することによって、外国の社会保険制度への加入が免除される協定です。
従って、赴任先の国が社会保障協定を締結しているか確認が必要になります。
日本と社会保障協定を締結している国であれば、日本か赴任先の国かのどちらか一方のみの年金制度に加入できます。
また、赴任期間が5年を超えない場合は日本、5年を超える場合は赴任先の国の社会保障制度を適用し年金を支払います。
予見できない事情により派遣期間が5年以内から5年を超えるような場合、両国の合意が得られれば日本の社会保障制度に加入することが可能です。
社会保障協定締結国への派遣期間と加入する社会保険制度
5年以内と見込まれる場合 | 日本の社会保険制度 |
5年を超えると見込まれる場合 | 協定相手国の社会保険制度 |
<社会保障協定を発行済みの国>23か国 ※2024年4月1日現在※
ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、中国、フィンランド、スウェーデン、イタリア
(日本年金機構「社会保障協定」抜粋)
<このうち、二重加入防止の対象となる社会保障制度や、年金制度の期間通算の可・不可は、それぞれの国によって違いがあります。自分が渡航する国で適用される社会保障協定の条件を、事前に確認しておくとよいでしょう>
なお、社会保障協定未発効の国へ赴任する場合、原則日本の厚生年金と赴任先の社会保障制度の両方に加入することになります。(一部例外あり)
また、出向元となる国内企業から給与が支払われず、出向先の海外企業から給与が全額支払われる場合は注意が必要です。
この場合、出向元の国内企業との雇用契約が継続していないとみなされる可能性があり、厚生年金は継続できません。
終わりに
医療機関に行く際の「健康保険」、将来のための「年金制度」
どちらも生活に欠かせない重要なものとなります。
「海外で働くかも・・」や「将来海外で働きたい!」などの方も、今回の記事を参考にし
お役立てください!
執筆者:吉野達也